業績連動報酬に関する税務上の取扱は?

上述したような検討項目に加えて、役員報酬の税務上の取扱にも注意が必要です。というのも役員報酬が法人税法上の損金として認められるためには(1)定期同額給与、(2)事前確定届出給与、(3)業績連動給与という3類型のいずれかに合致していなければならないからです。

(1)の定期同額給与は、毎月定額の役員報酬を支給するような形態です。もし期の途中で役員報酬額を自由に変更できるのであれば、経営者のさじ加減一つで法人所得の水準を調整できてしまいます。同様の趣旨から、役員にボーナス的な支給をするためには(2)の事前確定届出給与として時期や金額を事前に確定しておかなければなりません。

そして本稿のテーマである業績連動報酬を導入するためには(3)の業績連動給与の要件を満たしておく必要があります。業績連動給与とされるためには、同族・非同族の別、報酬を算定するための指標、計測期間など様々な要件をクリアしなければならないのです。

業績連動報酬に関連する近年の税制改正

税務上の制約が業績連動報酬や株式報酬などの普及の足かせにならないよう、近年の税制改正では柔軟な制度設計を可能とするための要件緩和が行われています。

例えば従来は利益の状況に関する指標(営業利益、当期純利益、ROEなど)が利益連動給与の対象とされていましたが、平成29年度改正においては株価等も指標とすることが可能となりました。「利益連動給与」から「業績連動給与」と呼び名が変わったのも改正の影響です。

また同年の改正で複数年度の指標を対象にすることができるようになったほか、従来は対象外であった同族会社のうち、非同族会社である親会社の完全子会社に限っては制度の導入が可能となりました。

なお直近の平成31年度改正では報酬委員会における決定などの手続で要件変更が行われています。業績連動報酬の導入にあたっては、このような税制改正の動向に留意すべきことは言うまでもありません。

文:北川ワタル(公認会計士・税理士)