廃線が続くJR北海道

とくに深刻なのはJR北海道である。2016年11月に単独では維持することが困難な線区として、営業キロのほぼ半分にあたる13線区・1237kmの路線の廃止を発表し、鉄道を持続的に維持していくための仕組みについて地域住民と相談をはじめたいと述べた。

北海道では、国鉄時代の1983年には約4000kmの路線があった。しかし、赤字路線が多くてはJR北海道の経営が成り立たたないということで、約1400kmの路線を廃止した。あれから三十数年、高速道路が整備され人口が激減するという環境変化があったとはいえ、北海道の鉄道網は、また同じ問題に直面しているのである。

一方、JR東日本<9020>は2002年6月、JR西日本<9021>は2004年3月、JR東海<9022>は2006年4月に、それぞれ完全民営化をはたした。また、JR九州<9142>も2016年4月に完全民営化を達成している。完全民営化されると、経営上の重要事項について国土交通大臣の認可を必要としなくなるので、経営の自主性が高まった。

JR東日本とJR北海道の資本統合の実現可能性

 前回紹介した麻生蔵相の発言にもどろう。「今のところ、2016年度のJR北海道の安全体制について、いろいろ弥縫策はしていますよ。しかし、これで完全に黒字になるかといえば、なかなかそうならんと思います。(略)もともと一緒だったんだから、黒字のJR東日本と北海道と合併するとか、JR四国と西日本を合併させるとか、双方で赤字の分を消して黒字で補うとか、いろんなアイデアは出るんだと思います。」(「朝日新聞デジタル」2017年2月28日)という発言である。

新函館北斗駅。JR北海道再生の起点となるか?(さっぽろっこ/写真AC)

 麻生蔵相は、JR北海道の経営危機を救うためには、JR東日本がJR北海道を合併し、JR北海道の赤字を埋め合わせればよい。かつては、ともに国鉄という経営体に属していたのであるから、合併するのも簡単であると考えているようである。

 しかし、ことはそれほど単純ではない。JR東日本は完全民営化を達成した株式会社であるから、冨田哲郎社長(当時)が言うように、赤字会社のJR北海道との合併に株主の賛成を得ることはできないであろう。したがって、JR東日本とJR北海道との合併は「言うは易く行うは難し」で、現実的にはかなり困難であると思われる。

 JR東日本は、販売施策の共通化、車両の共同開発、人材の派遣など、すでにJR北海道に対する支援を行っている。そうした実績を踏まえて、JR東日本は「地域密着が分割民営化の原点、JR北海道は自身の責任で再建するというのが国鉄改革の理念」としたうえで、「観光面での連携など、できることはサポートする」と述べたと伝えられている。JR東日本としては、JR北海道を合併することはできず、できる限りサポートをするというのが現実的な対応であると思われる。