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【鉄道の資本移動の歴史】阪神・阪急経営統合(その2) スローガンは「深める沿線、広げるフィールド」

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阪神・阪急の経営統合の、もう一つの意図

 前回、阪神・阪急の経営統合(阪急阪神ホールディングス)<9042>の真のねらいは、「京阪神地区でアーバンネットワーク戦略を展開し、旅客輸送のシェアを高めているJR西日本に対抗して、阪神・阪急がJR包囲網を築くことにあった」と述べた。

 しかし、阪神・阪急の経営統合のねらいは、鉄道事業にとどまるものではない。不動産、百貨店、ホテルなど、阪神・阪急の兼業部門にも及ぶものであった。今回は、そのことについて考えてみよう。

阪神は「鉄道事業を行う不動産会社」だったのか?

 村上世彰の率いる村上ファンドは、そもそも、なぜ阪神電鉄の株式を買い占めたのであろうか。京阪電鉄『京阪百年のあゆみ』(2011年)によれば、「私鉄各社は、沿線住民などの個人株主を中心に株式の流動比率が高く、優良資産が多い割には時価総額が低く、投資ファンドにとって格好の標的であった」からである(村上ファンドによる阪神電鉄株の買占めの経緯については前回に述べた)。

 実際、阪神電鉄は西梅田の土地や阪神甲子園球場など、沿線に多くの不動産を所有していた。だが、それらは実勢価格ではなく取得時の簿価で表示されているため、含み益は500億円にものぼるとみられていた。

 さらに、プロ野球の阪神タイガースという人気球団を所有していたので、資産価値が株価に反映しておらず、株価はまだまだ上がる可能性があった。

 そこで村上ファンドは、阪神電鉄の株式を大量に買い付け、株価が上昇したところで売り抜けば、莫大な利益が転がりこんでくるとみたのである。言ってみれば、阪神電鉄は「鉄道事業も行う不動産会社」にほかならなかったのである。

 当時、京阪電鉄の社長であった佐藤茂雄氏は、こうしたファンドによる鉄道会社の株式大量買い付けを、次のように厳しく批判している。

「鉄道会社は長年かけて沿線住民やご利用の皆さまに安定的なサービスを提供する仕組みを作り、企業価値をあげてきた。短期利益を目的とする株主が急に出てきて、利益をつかみ取りするのは、社員やご利用の皆さまそのほかの利害関係者にとって決してプラスにはならない」(前掲『京阪百年のあゆみ』より)

実は阪急にとっても魅力的だった阪神の資産

 阪急HDにとっても、梅田駅前に多くの資産を有する阪神電鉄は魅力的であった。阪急は、バブル経済崩壊後、大阪市西淀川区の開発計画が頓挫するなどして、負債が膨らんでいた。ところが阪神電鉄は、沿線に優良な資産をもち、財務状況は健全で、西梅田地区の再開発に取り組んでいた。

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