連載 「鉄道の資本移動の歴史」スピンオフ企画! 

「首都圏廃線物語」―ひと味違う路線を訪ねて

西武鉄道がかつては所有し、その後、休止線、廃線となった2路線を訪ねてみた。「西武安比奈線と「東京都水道局小河内線(俗にいう水根貨物線)」である。

安比奈線は、埼玉県川越市の南大塚駅から安比奈駅を結んでいた西武鉄道の貨物線で、1963年より50年以上も休止線となっていたが、昨2017年5月に正式に廃止となった(ただし、本記事の取材時期は2010年代前半である)。

東京都水道局小河内線は、1952年に開通し、1957年まで運行していた。小河内ダムの建設用資材輸送用に東京都水道局が敷設・管理した貨物線であり、ダム竣工後の1963年に西武鉄道へ譲渡され、さらに15年後の1978年に奥多摩工業へ譲渡された。現在は「水根貨物線」として遺構が残る。

冷たい鉄路にしみ込んだもの

 「廃線めぐり」。鉄道ファンの間にはいわずと知られている一つのジャンルである。

なんにもない、ともすれば廃墟然としたところを、何を好き好んでめぐるのかと問われることも多かろう。いいたい人にはいわせておけばよい。もはや列車が走ることはない赤さびた線路、人っ子一人訪れることのない施設に、廃線マニアはなんともいえない郷愁を覚えるのである。

かつて轟音を立てて通過していった列車、人々のおしゃべりの声……。そうしたものが、いまでもそこここにしみ込んでいる。であるからこそ、見た目は廃墟同然ではあっても、そこには暖かみが感じられるし、写真を撮ってその暖かみをすくい取ろうとする。

廃線は日本全国津々浦々に広がっている。都会にあっても、それは例外ではない。ここに紹介しようとしている二つの路線は、東京の副都心・新宿から通勤電車で1時間から1時間半ほどのところにある。多くの廃線はレールなどがことごとく撤去されて施設も朽ち果ててかすかな痕跡を探すのにさえ苦労するのに対し、この2路線にはしっかりと線路が残っていて、橋梁なども健在。トンネルもある。わくわくする廃線である。

いずれも、他の廃線とはひと味異なる路線なのである。