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【JR東日本・JR北海道】資本統合の可能性を探る(後編)

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MasaoTaira/iStock

JR北海道「函館〜札幌間」に観光列車を!

 それでは、どのようなサポートができるであろうか。観光面のサポートということで、私見を一つ述べてみたい。北海道新幹線が開業したとはいえ、まだ新函館北斗までで、札幌まで延長するのには数年を要する。そこで、新函館北斗から大沼公園・森・八雲・長万部・洞爺・伊達紋別・東室蘭・登別・苫小牧・南千歳を経て札幌にいたる路線に観光列車を走らせ、JR東日本の協力を得ながら東北新幹線・北海道新幹線と一体的に運行してはどうだろうか。現在は特急北斗などが運行しているが、JR九州が運行しているような観光列車を走らせるのである。この路線は、海岸線を走っているので大変眺めがよい。

駒ヶ岳を背景に走るキハ283系北斗(中村 昌寛/写真AC)

北陸新幹線が金沢まで延伸したときには、JR東日本、JR西日本が北陸新幹線と連絡するさまざまな観光列車を走らせ、観光客の誘致に努めてきた。東京~札幌間は航空機の利用者が圧倒的に多いからといってあきらめるのではなく、観光客を誘致する努力があってもよいのではないかと思う。

それはさておき、JR各社は発足後30年を経て独自の路線を歩んでいるかにみえる。しかし、JR各社は、それこそJR体制として、鉄道の全国ネットワークを維持するために互いに協力し合うことも重要である。鉄道は、国民生活や産業の発展にかかわる重要なインフラである。完全民営化を達成したJR東日本が、赤字のJR北海道を合併するのは難しいとしても、JR各社は協調しながら全国の鉄道ネットワークを維持する方策を考えていかなければならないのではないだろうか。

文:老川 慶喜(跡見学園女子大学教授・立教大学名誉教授)

老川 慶喜 (おいかわ・よしのぶ)

跡見学園女子大学観光コミュニティ学部教授。 1950年、埼玉県生まれ。

立教大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。経済学博士。専門は交通史、鉄道史。 現在、跡見学園女子大学観光コミュニティ学部教授、立教大学名誉教授。1983年、鉄道史学会設立に参加、理事・評議員・会長などを歴任。

近著に、『鉄道と観光の近現代史』 (河出ブックス)、『日本の企業家 5 小林一三 都市型第三次産業の先駆的創造者』 (PHP経営叢書)、『日本鉄道史 大正・昭和戦前篇 - 日露戦争後から敗戦まで』 (中公新書)など


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