渋谷と吉祥寺を結ぶ井の頭線という京王電鉄<9008>の路線がある。営業距離はわずか12.7km、所要時間は各停で30分、急行ならば20分にすぎない。しかし、沿線の吉祥寺、下北沢などは人気の高い街で、1日に360万~370万人ほどの旅客が乗り降りしている。この京王井の頭線の成り立ちには、1920年代から繰り広げられた東京郊外の私鉄の合併劇があった。今回は、そのあたりの事情を追ってみよう...
近鉄の歴史は、大阪電気軌道(大軌)から関西急行鉄道(関急)へと続く。その関急の系譜をたどると、3つの系統があることがわかる。3系統で15社の資本統合。M&Aを繰り返しながら関急が成立し、そして近鉄が私鉄の雄へと成長していく過程を追っていく。
日本全国に伸びる鉄道網。戦後70余年はその拡大と縮小の歴史でもあった。その歴史には鉄道各社が掲げる「鉄の理念」と、ライバル会社との競争を生き抜くしたたかな「鉄の思惑」が交錯する。鉄道の資本移動という観点から、その歴史を振り返ってみる。