気になるWatson(ワトソン)の存在

IBMの過去3年間の買収案件を見ると、「クラウド」「データアナリティクス」「デジタルマーケティング」の分野を中心に積極的に買収を行っているようだ。取得価額については非公表の案件が多いが、2016年2月にはクラウド関連(ヘルスケアデータ分析)事業のTruvenを約2600億円で買収している。その背景にはIBMの開発した「Watson(ワトソン)」の存在が考えられる。

Watsonはコンピューターでありながら、人と同じように情報から学び、経験から学習する「コグニティブ・テクノロジー(認識技術)」という特長を持つ。人工知能(AI)の分野はいくつかあるが、Watsonは人間のように自律的に判断する能力を持つ非常に高度な人工知能だ。さまざまなデータを分析するデータアナリティクスと相性が良い。

次にデジタルマーケティングとの関連性だが、こちらはWatsonの活用だけでなく、2016年1月に買収したUstream(ユーストリーム)等の動画配信サービスとのシナジーも考えられる。ビッグデータの活用はもちろんのこと、動画配信用のプラットフォームをIBMクラウド上に構築し、Watson等のツールとデジタルマーケティングの技術を組み合わせたマーケティングの強化が期待できるだろう。

いずれにせよレノボへの売却によりビジネス領域をBtoCからBtoBへ完全に移行した流れは変わらず、デジタルマーケティングの技術提供もIBMのビジネス・パートナー向けに展開すると思われる。

ところでスタンリー・キューブリック監督の映画「2001年宇宙の旅」に登場するHALは、IBMのアルファベットを1文字ずつずらしたもの、というのはご存知だろうか(わりと有名な話)。