ハイブリッド型総合書店「honto(ホント)」で好評の「ブックツリー」は、本の専門家たちが私たちの“関心・興味”や“読んでなりたい気分”などに沿って、独自の切り口で自由におすすめの本を紹介する企画です。

そんな数あるブックツリーの中から、ビジネスパーソン向けのものを編集部が厳選! 教養や自己啓発、ビジネスの実践に役立つものをピックアップしてお届けします。

“ビジネス書の顔をしていないビジネスに通じる名書”

ブックキュレーター:成毛眞

一見、ビジネスに関係ないように見える本にこそ、ビジネスの大きなヒントが隠れていたりする。そして、ビジネス書らしい顔をしたビジネス書に無駄に時間を費やしてはいけない。本当にためになるビジネス書はビジネス書の顔をしていないのである。
そんなビジネスの世界に通じる教えや示唆が大いに含まれているが、ビジネス書ではない本を紹介する。

君は一流の刑事になれ

君は一流の刑事になれ

元警視庁刑事部長捜査一課の著者が書いた、刑事という職業の指南書。現場の刑事目線で書かれているだけあり、ガス偽装自殺事件を取り上げて基礎力の大切さを語るなど、迫力が違う。「デキる刑事の条件」など、デカから若者たちへの言葉が綴られた最終章には、民間企業の新入社員にも有効な言葉があり、いい仕事の条件には普遍性があることに気づく。

チョコレートの真実

チョコレートの真実

先進国の子どもたちが気軽に食べているチョコレートを作るために、アフリカのカカオ農場で働く子どもたちが、いかに過酷な労働を強いられているか。本書はその実像を克明に描く。チョコを食べたこともなく、自分が育てた豆から何が作られるのかすら知らない子どもたち。圧倒されるほどの労働搾取と、改善の見込みのない不公正な格差という真実を知る一冊。

コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった

コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった

海運用のコンテナの標準化がなされた過程が書かれた、ノンフィクションの傑作。合理的なシステムとして、トラックとトラックに載せる箱を分離したことがコンテナの誕生につながった。根本的な変革に対して、変化を嫌う行政や業界、ライバル。行く手を阻む彼らと対峙し、幾多の困難を経て発明者が世界最大級の海運王に上り詰める過程も読みどころだ。

経済学名著と現代

経済学名著と現代

経済学の土地勘を身につけ、ニュースや情報を批評できる知識の使い方を手ほどきする本書。北岡伸一が福沢諭吉の『文明論之概略』を、野中郁次郎がサイモンの『経営行動』を解説するなど、古びない名著のおもしろさを中身をともなったカジュアルさで読ませてくれる。名著と解説者の選択にまったく過不足がなく、センスのいい名盤オムニバスのようだ。

鵤工舎の仕事 長泉寺建立記

鵤工舎の仕事 長泉寺建立記

2008年に落慶法要された東北最大規模の寺院本堂。その建立に関わった奈良の宮大工集団、鵤工舎の仕事ぶりを描いている。本堂は少なくとも数百年はもつという。時代を超えて継承される日本古来の建築技法、そして寺社建築の機能美に終始驚かされる。棟梁のみならず、材木や基礎、左官、瓦など、さまざまな人のエピソードも盛り込まれた価値ある一冊だ。

ブックキュレーター:成毛眞

北海道生まれ。元マイクロソフトの代表取締役社長。2000年に退社後に投資コンサルティング会社インスパイアを設立。現在は同社取締役ファウンダーのほか、書評サイト「HONZ」(http://honz.jp/)代表などを務める。


※本記事はhonto「ブックツリー」より転載