例えば、もしもウッカリ勘違いして、
「B社の発行済株式1万株で、親父20%(2,000株)、息子30%(3,000株)なんだから、A社の株式も同じ数(親父2,000株、息子3,000株)を交付すりゃいーんじゃねーの?」
と実行してしまった場合、
合併後の株主構成
親父 A社(もともと持っていた分)株式 1万株+合併交付2,000株=12,000株(80%)
息子 合併交付 3,000株(20%)
合併後の発行済株式総数 15,000株
となりますから、
合併後の持ち分
親父 合併後純資産12億円×12,000株/15,000株=9億6千万円(合併前持ち分 10億8千万円)
息子 合併後純資産12億円×3,000株/15,000株=2億4千万円(合併前持ち分 1億2千万円)
あれあれ?親父さんの持ち分が1億2千万円減って、息子さんの持ち分が1億2千万、増えてしまっています。
これでは、なんと
(1億2千万円-基礎控除110万円)×55%-640万円=約5,900万円!
の贈与税がかかってしまいます。(上記は特例税率 で計算した場合です)
このような心配事を避けるために、合併前にA社とB社の株主構成を全く同じにする、ということも考えられますが、時間がかかるケースでは、上記のように合併交付株数を調整する必要があります。
合併の際の贈与税は落とし穴ですから気をつけてくださいね。
なお、上場企業同士の場合、(絶対とは言いませんが)普通はこのようなことは問題になりません。利害の対立する第三者間において合意した合併比率=適正時価とみなされるケースがほとんどだからです。
ご参考:相続税法 第九条
第五条から前条まで及び次節に規定する場合を除くほか、対価を支払わないで、又は著しく低い価額の対価で利益を受けた場合においては、当該利益を受けた時において、当該利益を受けた者が、当該利益を受けた時における当該利益の価額に相当する金額(対価の支払があつた場合には、その価額を控除した金額)を当該利益を受けさせた者から贈与(当該行為が遺言によりなされた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。ただし、当該行為が、当該利益を受ける者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合において、その者の扶養義務者から当該債務の弁済に充てるためになされたものであるときは、その贈与又は遺贈により取得したものとみなされた金額のうちその債務を弁済することが困難である部分の金額については、この限りでない。
[著]節税ヒントがあるかもブログ メタボ税理士さん
[編集・改変]M&A Online編集部
本記事は、「節税ヒントがあるかもブログ」に掲載された記事を再編集しております。
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節税ヒントがあるかもブログのメタボ税理士さんが第二次納税義務について実際の判例を基にご紹介します。