そこまで安定性の高い仮想通貨が、なぜリアル通貨が暴落していないにもかかわらず42億分の1という破壊的な大暴落を引き起こしたのか?そこにはTITANのシステム自体に問題があった。ステーブルコインには、次の3種類が存在する。
(1) 法定通貨担保型
(2) 仮想通貨担保型
(3) 無担保型
(1) の法定通貨担保型はリアル通貨とひもづけられており、ステーブルコインの主流だ。
(2) 仮想通貨担保型はイーサリアム(ETH)やベーシック・アテンション・トークン(BAT)、USDコイン(USDC)などの仮想通貨とひもづけられており、安定性は法定通貨担保型に劣る。
(3) の無担保型は「アルゴリズムステーブルコイン」と呼ばれ、リアル通貨や他の仮想通貨とひもづけられていない。その代わりアルゴリズムによって発行量を制御し、暴落を防ぐ仕組みだ。安定性の信頼度は最も低く、3種類のステーブルコインの中では最も人気がない。
TITANは無担保型のアルゴリズムステーブルコインだった。人気のないアルゴリズムステーブルコインは、そもそも価格が高騰すること自体が「想定外」。交換価値をステーブル(安定化)するのが目的の仮想通貨であり、「暴騰しないことで、暴落を防ぐ」仕組みだからだ。言い換えれば「山低ければ谷浅し」である。
日本政府は世界に先駆けて仮想通貨交換業を登録制とし、市場の安定化に取り組んできた。日本が仮想通貨で世界をリードする日は実現するのか。2019年は将来の日本のポジションを占う年となりそうだ。
仮想通貨交換業に新規参入の意向を持つ企業が160社超に達していることが、金融庁の調べで分かった。4月27日に金融庁が公表した資料では100社程度だったため、この5カ月ほどで1.6倍に増えたことになる。