国内需要で量産体制を整えてから、輸出に振り向けるのが自動車産業の「成功パターン」だ。輸出で存在感を示すには、EVの内需を高める必要がある。中国国内での2023年のEV販売シェアは約25%に達した。
日本は国内メーカーのEV投入が遅れており、2.2%と10分の1未満。しかも、国内で販売されたEVの約4割が日本規格の軽自動車「サクラ」で、国際競争力がない。しばらくは日本製EVの輸出が増加する可能性は低いだろう。
EVの内需が高まっているのは中国だけではない。EU主要国でも2023年の新車販売に占めるEVのシェアは30%程度に上昇しており、内需が好調なことから欧州のEV量産体制は整いつつある。これに伴いEUからのEV輸出も、さらに増えるとみられる。
2023年にはドイツのメルセデス・ベンツやBMWなどが2万2890台のEVを日本に輸出した。日本国内でのEV販売に占める輸入車のシェアは25.8%に達しており、高価格帯のモデルが多い。
幸いなことに円安もあり、日本車メーカーの業績は好調を持続している。日本車メーカーは豊富な資金力を活かして海外のEVメーカーを買収し、生産規模の拡大と開発時間の短縮を実現する必要がありそうだ。日本が逸(いち)早く自動車輸出世界一の座を取り戻すには、M&Aしか方法はないだろう。
文:M&A Online
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