運送業界の「2024年問題」が目前に迫っている。2024年4月から働き方改革法案でドライバーの時間外労働時間が年間960時間に制限され、物流量の減少が懸念されているのだ。ドライバーの拘束時間が短縮されることで、これまで通りのやり方では、トラック輸送量が大幅に減少せざるを得ない。そこで知恵を絞っているのが、商用車の車体メーカー。ジャパンモビリティーショーでは、日本自動車車体工業会がドライバーの負担軽減と物流効率を引き上げる独自製品が紹介されている。
短い労働時間で輸送量を減らさないためには、勤務時間全体におけるドライバーの運転時間を長くする必要がある。ドライバーの勤務時間には荷物の積み下ろしに伴う待機時間が含まれる。積み下ろしに時間がかかれば、その分だけドライバーの運転時間が減る。いわば「アイドリング状態」の時間を短縮できるのが、日本トレクスの「スワップ冷凍フラットパネルバンボデー」だ。
シャシー(車体)とボデー(荷台)が分離し、運転手は目的地に着いて荷台を取り外し、別の荷台をセットすることで荷物の積み下ろしにかかる時間を大幅に短縮できる。展示している冷凍バンボデーは冷凍機を内蔵。荷台のみでも冷凍保管が可能で、食品輸送に最適だ。
荷物の積み下ろしで手待ち時間を短縮することは、ドライバーの運転時間を増やすために重要な対策だ。しかし、トラックの閉鎖された荷室での積み下ろし作業は、空間的な制限もあり、なかなか思い通りには運ばない。ならば荷台を開放して、どこからでも荷物の搬出・搬入作業をできるようにしたらどうか。その発想で開発されたのが、山田車体工業の「フルリフトFLAP」だ。
荷台側面がガルウイングのように大きく開放されるのに加えて、ルーフ(天井部分)と上桟が70cmほど上がるので、広々とした空間でどの方向からでも荷物の積み下ろしがスムーズにできる。溶接構造を多く取り入れることでボデーの強度を保ち、高い気密性を確保。自社開発のカーボンFRPを使用した断熱サンドイッチパネルの採用で庫内温度を安定して維持、結露の発生が少ないと好評だ。温度や湿度の変化を嫌う精密機械や美術品の輸送にも用いられている。
ダンロップブランドのタイヤを生産する住友ゴム工業や、2輪車(バイク)を生産するヤマハ発動機などが、50年以上続けてきた事業から撤退する。成長事業に経営資源を集中させるのが狙いだ。