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M&A指南 六つの大切なこと(2)「手っ取り早い」は命取り

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C社の場合

 C社の事例に関してはより顕著です。C社はより遠隔地にあり、地域性もより大きく違いましたが、何よりも致命的だったのは、事業所の地代家賃が不相当に高額、かつ長期の契約内容で、途中解約した時の違約金もとんでもなく高い、という状況だったのです。その地代家賃の水準は、どんなに企業努力をして業績を上げても地代家賃に吸い込まれる、と言うほどの水準でした。

 私が関与した時点で、A社がC社を買収した頃の経営陣はおらず、なぜこのような契約内容を結んでいたのか、買収前に検討しなかったのか等々はすでに分からない状況でした。分かったところで契約内容を変更できるものではありません。

 もちろんB社と同様に、数年後にA社から再建のための人材が赴きましたが、あまりにも地代家賃の負担が大きいために黒字に転換できません。

 ここでなされたことは、事業所の場所はそのままに設備をリニューアルすることでした。この事例の業種の場合、リニューアルは業績向上に効果があり、損益スレスレにまで回復しましたが、そのリニューアル効果が薄れてきた時、まだ残っているであろう設備投資(リニューアル)の償却と、賃貸借契約期間が大きく業績を圧迫するリスクが残っています。

 ここでもやはり、買収前の十分な検討がなされていなかったことがうかがえます。

 全国展開という方向性のものと、十分な検討をせずに「買収による全国展開」という方針ありきで買収を実行すると、この事例のように長期にわたって本業の足かせとなってしまいます。

 この2社でつまずいたA社は、今となっては社内で全国展開という方向性を言い出す人はいなくなり、当初の方向性は完全に失われています。 

高橋 秀彰 (たかはし・ひであき)

高橋秀彰 綜合会計士事務所代表

    高橋秀彰綜合会計士事務所 代表。1965年生まれ、愛知県出身。公認会計士、税理士、宅地建物取引士。燦ホールディングス株式会社(東証一部上場)社外監査役。 

    人呼んで「会計業界のブラックジャック」(ただしライセンスは有り)。他の会計事務所では手に負えない難度の高い案件を得意としており、数多くの相続対策、企業の予算管理、事業承継(M&Aを含む)、不動産取引スキーム立案実行等によるクライアント救済の実績を持つ。その他、一般企業を対象とし、独自に開発した財務分析ツールを用いて行う決算検討会も好評を博している。 

 

  

また、京都花街のお茶屋では稀有な顧客として知られ、京都花街の不文律や裏事情にまで精通している。2017年に『「一見さんお断り」の勝ち残り経営』( http://amzn.to/2qW9r9e)~京都花街お茶屋を350年繁栄させてきた手法に学ぶ~ぱる出版/1500円+税を出版。

高橋秀彰綜合会計士事務所

(http://takahashijimusyo.net/index2.html)


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