話題作の多い今年の11月公開予定映画ですが、特に筆者がおすすめなのは、11月11日に公開される『すずめの戸締まり』と『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』の2作品です。
今月もおすすめ5作品を公開日順にご紹介します。
『オーシャンズ』シリーズのジョージ・クルーニーとジュリア・ロバーツが再共演したロマンティックコメディ。今作で二人は元夫婦という役どころで、娘のスピード婚を何とかして止めようと悪戦苦闘します。
会えばいつもいがみ合うだけの二人ですが、思わぬ娘の決心にむけて協力することになります。
舞台はバリ島ですが、監督が『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』や『マリーゴールド・ホテル』シリーズに関わったオル・パーカーということでそのリゾート描写にも注目です。
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映画『チケット・トゥ・パラダイス』公式サイト 2022年11/3公開 (ticket2paradise.jp)
『君の名は。』『天気の子』の新海誠監督、待望の最新作です。
九州で暮らす岩戸鈴芽(すずめ)は、扉を探しているという旅の青年・草太に出逢い、日本各地の廃墟を巡り、災いの元となる“扉”を閉める旅に出ることに。
毎回、ヒロインのボイスキャストに注目が集まりますが、今作は原菜乃華が抜擢されました。共演に松村北斗、深津絵里、染谷将太、伊藤沙莉、松本白鷗などが名前を連ねたほか、3作連続でRADWIMPSが音楽を担当しています。
新海作品といえば『君の名は。』で興行収入250億円、『天気の子』も興行収入142億円とどちらも大ヒットしました。『すずめの戸締まり』も100億円を超えるのではと業界内で早くも期待されています。
興行収入で先行する『トップガン マーヴェリック』(億円)や『ONE PIECE FILM RED』(億円)の数字にどこまで迫れるかも注目です。
©2022「すずめの戸締まり」製作委員会
映画『すずめの戸締まり』公式サイト (suzume-tojimari-movie.jp)
マーベル作品として2018年に公開された前作『ブラックパンサー』は、特にアメリカでは映画という枠組みを超えたシンボリックな存在として社会現象にまでなりました。
北米地区では『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』を上回る7億ドルのヒットを記録しただけでなく、メインキャストやメインスタッフをアフリカ系で固めことから、多民族文化のシンボル作品となり、アカデミー賞作品賞にノミネートされました。コミックヒーローのアカデミー賞作品賞ノミネートは、これが初の作品となりました。
今作は主役のブラックパンサーを演じていたチャドウィック・ボーズマンが2020年に死去するという出来事を乗り越えて作られた作品という点でも注目です。
国王ティ・チャラを失ったワカンダに新たな脅威が迫るという物語になるようです。
©Marvel Studios 2022
ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー|映画|マーベル公式 (disney.co.jp)
芥川賞作家の平野啓一郎の同題小説を『蜜蜂と遠雷』、『愚行録』の石川慶監督が映画化。
夫・大祐を亡くした妻・里枝から、夫の過去を探るように依頼された弁護士の城戸は、真相を探るうちに思いもよらぬ真実に突き当たり、自身のアイデンティティを大きく揺さぶられることになります。
弁護士・城戸に妻夫木聡、大祐と里枝の夫婦を窪田正孝と安藤サクラが演じています。
また仲野大賀、真木よう子、清野菜名、柄本明などなど実力派俳優が隅々にまでキャスティングされているところは実に豪華な印象を与えます。
静かな物語ですが、非常に重厚な映画に仕上がっています。
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映画『ある男』公式サイト | 11月18日(金)全国ロードショー (shochiku.co.jp)
『告白』や『白ゆき姫殺人事件』、『Nのために』など映像化作品も多いベストセラー作家の湊かなえが「これが書けたら作家を辞めてもいい。そう思いながら書いた小説です。」と語った『母性』が戸田恵梨香と永野芽郁のW主演で映画化されました。
なんといっても熱演とも怪演とも違った、魂を削った戸田恵梨香の演技に注目です。映画ならではの仕掛けも多く、まばたき厳禁で観ていただければと思います。
メガホンを取った廣木隆一監督は本作に加えて『あちらにいる鬼』、『月の満ち欠け』と三本の映画がこの秋冬に公開、全ての映画が東京国際映画祭2022のガラ・セレクションに選出されています。
©2022映画「母性」製作委員会
映画『母性』オフィシャルサイト (warnerbros.co.jp)
これらの作品以外にも韓国で記録的なヒットとなった『犯罪都市THE ROUNDUP』、寺島しのぶが瀬戸内寂聴を演じた『あちらにいる鬼』、ハリー・スタイルズ主演のサスペンス作品『ドント・ウォーリー・ダーリン』、レイフ・ファインズがメインキャストを務めるブラック コメディ ホラーの『ザ・メニュー』、全世界1500万部突破のミステリー小説を映画化した『ザリガニの鳴くところ』などが公開を控えています。
10月は邦画が多かった印象ですが、11月は一転して海外作品が分厚い並びになっています。
文:村松健太郎(映画文筆屋)
(参照先:興行通信社Presents CINEMAランキング、BOXOFFICEMOJO、東京国際映画祭公式HP)