蓋を開けると、ゲームは単なるスマートフォン内で行うクレーンゲームでした。やや拍子抜けな感じがします。

しかし、アイドルの育成や、パズルとRPGを組み合わせたゲームが主流の中、神の手はそのシンプルさで業界の常識を打ち破ると思われました。ゲーム内で得られる商品が魅力的であればあるほど、内容がシンプルな方がファンがつきやすいからです。

その第1弾となる商品がこちらです。

神の手の第1弾企画商品「場空缶」
神の手第1弾企画商品「場空缶」
神の手第1弾企画商品「場空缶」

驚くべきことに、”空気”でした。ブランジスタゲームは、272種類合計3万缶を景品として用意しました。スタッフ総出で3万缶分の空気を集めるという、涙ぐましい努力が目に浮かぶようです。

そして、ゲームをリリースした2016年6月に発表した第4弾企画が、投資家たちの度肝を抜きました。AKB48選抜メンバー上位16名になり切れるという「マスクヘッズ」です。

神の手第4弾企画「マスクヘッズ」
神の手第4弾企画「マスクヘッズ」

「神の手だけのオリジナル景品!」とありますが、あまりにも独創的すぎて「はい、そうですよね」と首肯するほかない商品です。

ブランジスタゲームはユーザーを獲得するため、2016年12月からテレビCMによる認知度拡大に努めました。しかし、2017年末の段階でダウンロード数は150万止まり。4000万ダウンロードを記録した大ヒットタイトル「モンスターストライク」と比較すると、見劣りする結果となりました。

ファミ通モバイルゲーム白書2018年」がまとめた、2017年1月から10月までのスマートフォンゲーム課金売上ランキング国内TOP10はこのようになっています。

順位タイトル名課金売上高
1位 モンスターストライク 1041億円
2位 Fate/Grand Order 896億円
3位 パズル&ドラゴンズ 473億円
4位 LINEディズニー ツムツム 303億円
5位 ドラゴンボールZ ドッカンバトル 278億円
6位 アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ 226億円
7位 グランブルーファンタジー 209億円
8位 実況パワフルプロ野球 172億円
9位 白猫プロジェクト 149億円
10位 ポケモンGO 143億円
8位 実況パワフルプロ野球 172億円
9位 白猫プロジェクト 149億円
10位 ポケモンGO 143億円

ファミ通モバイルゲーム白書2018年より筆者作成

神の手はランクインしていません。見事なまでに、大コケしてしまったのです。どこでつまづいたのか、という冒頭の質問に立ち返ると、ゲームのリリース直後からになるのでしょう。

3期連続で営業利益は出ず、2期連続の債務超過

ブランジスタゲームの財政状態を見てみましょう。

2016年9月期2017年9月期2018年9月期
純資産8500万円△1億7900万円△10億4500万円
売上高8700万円2億8500万円3億6000万円
営業利益△3000万円△2億6100万円△7億3300万円

ブランジスタ発表より筆者作成

開発費や宣伝広告費による投資がかさんでいる姿が浮かびます。同社は楽天やフジテレビ、Hulu、北海道・上川町、はるやま、BEAMSなどとタイアップ商品を開発しており、売上の多くは企業からの広告ではないかと予想されます。

ブランジスタの次なる収益柱として期待された「神の手」でしたが、最終的には身内企業に引き渡す結果となりました。同社は2018年12月に国内外の旅行・観光情報を発信するDugong(ジュゴン)を買収しました。主力の「旅色」との相乗効果を狙ったもの。ゲーム事業売却後は、旅行やグルメ、ホテル情報などを軸に事業拡大を狙うと考えられます。

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