「続・事業承継とバイアウト-ロールアップ編-」|編集部おすすめの1冊

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数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。

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「続・事業承継とバイアウト-ロールアップ編-」日本バイアウト研究所編 中央経済社刊

日本の中小企業の6割ほどは後継者が不在と言われる。これら企業では経営者の死亡や体調不良などで倒産や廃業に追い込まれるケースが少なくない。

こうした情勢の中、中小企業の事業承継にバイアウトファンドが活用されるケースが増えてきた。同ファンドは投資家から集めた資金で企業を買収し、当該企業の価値を高めたうえで売却して利益を得る仕組みをいう。

一方、ロールアップは多数の中小企業を次々に買収し規模を拡大することで、コストダウンや売り上げアップを目指すもので、これによって企業価値を高めIPO(新規株式公開)やM&Aにつなげる手法をいう。

本書は2011年の「事業承継とバイアウト」、2016年の「続・事業承継とバイアウト-製造業編-」「続・事業承継とバイアウト-小売・サービス業編-」に次ぐもので、今回は中小企業の後継者問題の解消につながるロールアップに焦点を当てた。

筆者は豊富なM&Aアドバイザリー業務の実績を持つ専門家や、多数のロールアップ案件を手がけてきたバイアウトファンドの運営者らで、日本の経営者にバイアウトに関する情報発信を行っている日本バイアウト研究所が編集した。

続・事業承継とバイアウト ロールアップ編

第Ⅰ部と第Ⅱ部の2部構成で、第Ⅰ部ではロールアップの定義について考察したうえで、日本で活動するバイアウトファンドが手がけたロールアップ案件の動向と展望について取り上げた。 ロールアップの社会的意義や、バイアウトファンドが果たす役割、 売り手企業の経営者が準備しておくべき留意点、買い手企業によるPMI(M&A後の統合作業)の実務などについても解説してある。

第Ⅱ部はロールアップ型M&Aの事例を中心とした内容で、実際のPMIの現場の状況や、日本の中小企業がM&Aを推進することで成長を目指していく過程がまとめられている。バイアウトファンドによるM&Aに関わった企業経営者5氏のインタビューや、バイアウトファンドの経営者4氏による座談会も読み応えがある。

事業承継型のM&Aを検討している経営者や、M&Aで成長を目指す経営者はもちろん、M&Aや事業承継にかかわる金融機関、M&Aアドバイザー、コンサルタント、弁護士、会計士らの専門家にも役立つ一冊だろう。(2023年1月発売)

文:M&A Online編集部

M&A Online編集部

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2022年の後継者不在による倒産件数は、422件(前年比10.7%増)で、3年連続で前年を上回った。400件台に乗ったのは初めてで、負債1000万円以上の倒産全体の6.5%(前年は6.3%)を占めた。