業界の優等生ともいえる山口銀行が地域のトップバンクとしてM&Aテクニックを見せつけたのは、平成の時代、2010年前後のことである。2011年に山口銀行は関門海峡を隔てた隣県の福岡県小倉(北九州市)に本店を置いた北九州銀行にいったん事業の一部を吸収する形をとった。九州域内で事業分割譲渡を行うというスキームである。と同時に北九州銀行は九州域内の事業分割承継というスキームによって山口銀行の業務の一部をM&Aすることになる...
「都道府県魅力度ランキング」では6年連続最下位で、一見するとパッとしない茨城県。常陽銀行は、その茨城県内のトップ地銀として圧倒的な存在感を持つ。その特徴は十分には伝わっていないが、沿革・歴史を見ると豪快ともいえるM&Aを繰り返してきた。
全国の地銀には通称“ナンバーバンク”と呼ばれる金融機関がある。新潟の第四銀行、長野の八十二銀行、岐阜の十六銀行、三重の百五銀行、香川の百十四銀行、長崎の十八銀行、そして明治11年、宮城で営業を開始した第七十七国立銀行が源流の七十七銀行だ。
日本各地の「地銀」のルーツをたどってみよう。そのM&A―合従連衡の歴史をひも解けば、銀行や金融経済の成り立ち、日本の伝統産業、商業の集積の移り変わりなども見えてくる。第1回は「北海道」。北の大地には、北海道銀行と呼ばれる組織が2つあった。