トップ > ビジネスと経済 > 事業再生・倒産 >SAY企画が破産申請 年金受給者のデータ入力業務を受注していた

SAY企画が破産申請 年金受給者のデータ入力業務を受注していた

※この記事は公開から1年以上経っています。
alt

~日本年金機構から中国業者への無断再委託で処分を受けていた~

(株)SAY企画(TSR企業コード:295785276、法人番号:4013301020174、豊島区東池袋1-48-10、設立2003(平成15)年8月、資本金5000万円、代表清算人:切田精一氏)は10月19日、東京地裁より破産開始決定を受けた。破産管財人には藤井和典弁護士(山王シティ法律事務所、港区赤坂2-2-21)が選任された。
 負債総額は約4億円。

 データベース構築・入力業務を柱に、システム受託開発などを手掛けていた。当初は民間企業との取引が主力だったが、リーマン・ショック以降、取引先の内製化が相次いだことで、東京都や厚生労働省など、行政や官公庁からの受注に傾倒した。
 厚生労働省など官公庁からの受注が売上の9割を占めるなか、日本年金機構(TSR企業コード:298115255、法人番号:4011305001653、杉並区)から年金受給者のデータ入力業務を受託するなどして、2015年3月期には売上高約8億4100万円をあげていた。
 しかし2018年2月、日本年金機構との契約に反して無断で扶養親族等申告書の入力業務を中国の業者に再委託していたことが発覚。また、多数の入力漏れなどにより年金受給者の源泉徴収額が正しく反映されない事態が発生した。

 2018年2月14日に入力漏れが判明した約6万5000人については日本年金機構が入力作業を行い、同年3月15日の支払い時に還付。同年2月15日以降に判明した約1万4000人の入力漏れは、同年4月13日の支払い時に正しく反映される作業を行ったが、入力誤りは累計約31万8000人分にのぼるなど混乱が広がった。
 日本年金機構は、当社の不正行為を受け、内規に基づく停止措置としては最長期間(当時)となる向こう3年間、競争入札への参加資格を停止。処分理由は、期限内の納品遅れの常態化や入力漏れで履行しないものがあったほか、再委託禁止だった業務を無断で海外の関連業者に再委託していたことなどだった。

 一連の問題発覚後、当社は2018年5月までに実質的に事業を停止。同年6月5日に株主総会の決議により解散していたところ、債権者から破産を申し立てられ今回の措置となった。

東京商工リサーチ「TSR速報」より

NEXT STORY

アクセスランキング

【総合】よく読まれている記事ベスト5