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サブスクリプション飲食の嚆矢となるか、favyとフィル・カンパニーの提携

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店長不在で生産性の上がる飲食店が成立

店舗やエリアごとにマーケティングが必要ない点も大きいです。

地域に根差した飲食店の場合、Webやチラシ、看板、クーポンなど、その場所に最適化した集客手法を開発しなければなりません。例えば全国で50店舗展開するチェーン系カフェがあったとします。マスメディア広告だけで、すべてのお店に集客できるのであれば楽です。しかしながら、飲食店の場合はそうもいかないのです。店舗認知を広げるため、A店では看板の角度を変えたり、B店ではFacebookをやってみたり、C店では駅前でチラシを配ったりしなければなりません。定額制であれば、そうした活動に資金や手間を投じる必要がない。

店長がいらない点もサブスクリプション型のメリット。店舗運営は、集客からアルバイト管理、売上計算まで店長が行います。特に売上計算と予測は運営の要。それがそっくりそのまま必要なくなりますので、店長業務がいりません。人材開発に力を入れる必要もなく、アルバイトだけで十分な店舗運営が可能となります。

メリットが多い一方、定額制を導入するうえで、困難なポイントは会員集めです。サブスクリプション型飲食店が定着していない日本で認知を広げる活動と、会員が集まるまでの薄氷のような収益構造に会社が耐えられるかどうか。

favyはそこを克服しているように見えます。

同社は飲食特化のキュレーションメディアを運営しています。favyの閲覧者数は4,200万人(公式HP)。すでに、自分たちのサブスクリプション型飲食店を認知させるための足場は築けているのです。

資金面では、たくみに調達を重ねています。2016年4月に1億円。2017年3月には3.3億円。みずほキャピタルやサイバーエージェント・ベンチャーズなどから出資を受けました。その他、クラウドファンディングなどを活用して資金を調達しています。

favyのカフェはまだ黒字化できていないと予想されますが、調達した資金で店舗を回すことが可能です。

会員獲得の障壁さえ乗り越えることができれば、経営が安定して人材育成や管理の手間がかからないという、夢の飲食店を手に入れることができるのです。

フィル・パーク
フィル・パーク 名古屋栄

フィル・パークのコンテンツ力で会員獲得に繋げることがカギに

フィル・カンパニーは、コインパーキングの上に建物を建設し、不動産収益を上げるというビジネスモデルです。2016年11月に東証マザーズに上場しました。駐車場上部を利用した建物「フィル・パーク」は、2017年11月の段階で受注プロジェクト数が111(同社2017年11月期第2四半期決算説明資料)に達しています。

フィル・カンパニーがコインパーキングオーナーに「フィル・パーク」を提案し、物件の企画と開発を行います。テナント募集などを行って、物件管理を代行する。というビジネスモデルになっています。物件数をとにかく増やすことが重要です。

コインパーキング収入はそのまま、空中店舗で追加収入をし、表面利回り20%を稼ぐという「新しい土地活用の提案」という側面が強かった同社。ここにきて、建物のコンテンツ力を磨くという新たな成長戦略を打ち出しています。

2017年11月期第2四半期決算説明会飼料
成長戦略 次なる一手

要するに、建物に魅力的なコンテンツ(テナント)をくっつけて、不動産オーナーに提案しやすい形にしますよ。そこから全国にどんどん拡大します、ということです。

フィル・パークは大きく分けて、オフィス型と商業型があります。今後は、商業施設としてのフィル・パークに力を入れるようです。コンテンツの強化、その一環が、favyの「coffee mafia」となるわけです。

この商業施設に注力するという部分がポイント。アパレルショップや生活雑貨などの店舗が集まる施設ができれば、それだけで人が人が集まります。副産物としてカフェに人が流れるわけです。

イメージとしてはこんな感じ。

店員:「ウチは定額制のカフェなんっすよ……」

買い物客:「月々2,000円? ちょっと高いわね」

店員:「でも、ウチの豆は上質なんで、1杯600円の価値はあります。4杯でもとがとれる計算です」

買い物客:「うーん、それでもねぇ」

店員:「このあたりのカフェは、どこもいっぱいで、なかなか座れないですよ? ウチは会員制ですので、すいていることが多いです」

買い物客:「うーん、そうねぇ」

店員:「今なら1か月分は無料にしますので」

買い物客:「でも、登録がめんどくさそうねぇ」

店員:「いえ、このアプリをダウンロードしていただくだけですので」

買い物客:「なるほど、それならいいわ」

というわけです。「フィル・パーク」が人の集まる施設になればなるほど、こうした人が増える構図。さらにfavyは自社のメディアで、会員獲得の認知活動が広く行えます。同時に、favyでフィル・パークそのものの宣伝にも力を入れるはず。それを見た顧客が……。と好循環が生まれます。

favyとフィル・カンパニーの提携に飲食店の新しい未来が見えてきます。

文:麦とホップ@ビールを飲む理由

麦とホップ @ビールを飲む理由

しがないサラリーマンが30代で飲食店オーナーを目指しながら、日々精進するためのブログ「ビールを飲む理由」を書いています。サービス、飲食、フード、不動産にまつわる情報を書き込んでいます。飲食店、宿泊施設、民泊、結婚式場の経営者やオーナー、それを目指す人、サービス業に従事している人、就職を考えている人に有益な情報を届けるためのブログです。やがて、そうした人たちの交流の場になれば最高です。

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