世界のアクティビスト活動、第2四半期は32%減の53件
6月30日、大手投資銀行バークレイズのデータによると、アクティビスト(物言う投資家)が第2・四半期に企業に出した新たな要求は世界全体で53件と、過去最高だった前期の78件から32%減少した。
ツルハから手じまいする形のオアシスが新たに狙いを定めたアインホールディングスは調剤薬局でトップに立つ。ドラッグストアは調剤薬局を併設する店舗も多く、両者は業界として隣接関係にある。
オアシスによるアイン株の保有割合は現在9.6%。上場企業の株式を5%を超えて新規取得した株主は5営業日以内に大量保有報告書を提出しなければならないが、いきなり10%近くの保有が判明するのは異例で、用意周到に買い進めたことがうかがえる。
保有目的は「ポートフォリオ投資および重要提案行為」。保有比率が10%を超えるのは時間の問題とみられ、今後、アインに対してどういった株主提案などの働きかけがあるのか注目される。
アインが3月初めに発表した2024年4月期業績予想は売上高8.8%増の3902億円、営業利益15.3%増の184億円。調剤薬局約1220店舗、ドラッグストア約80店舗を展開している。
それにしてもオアシスはどうしてアインに照準を合わせたのか。ツルハ、アインの共通項をあげれば、大手流通グループとの資本関係。イオンがツルハに13%超出資する筆頭株主であることはすでに触れた通りだが、アインにはセブン&アイ・ホールディングスが7.8%を出資する。
アインとセブン&アイは2008年8月、病院内や病院周辺での調剤薬局とコンビニとの共同出店などを目的に資本業務提携した。同じ年の1月、アインは「ハックドラッグ」などを展開するドラッグストア準大手のCFSコーポレーションとの経営統合が破談に終わり、新たな提携先としてセブン&アイと組んだ。
実は、この経営統合に反対したのがCFSの筆頭株主(約15%保有)だったイオン。委任状争奪戦の末に統合を阻止した。その後、2015年にイオンは傘下のウエルシアを通じてCFSを子会社化(翌年、吸収合併)し、グループに取り込んだ。こうした経緯から、アインはイオンとも浅からぬ因縁を持つのだ。
オアシスが今後、アイン株の保有割合をどこまで引き上げることになるのか。事と次第では、調剤薬局業界とドラッグストア業界をまたぐ再編に発展する可能性がある。
というのも、ツルハの場合と同様に、オアシスが保有するアイン株をイオンが買い取る展開も考えられるからだ。イオンにすれば、ドラッグストアにとどまらず、調剤薬局の分野でも主導権を発揮する道が開ける。
付け加えれば、ツルハとアインはいずれも本社を札幌市に置く。
調剤薬局2位の日本調剤は3月8日、月末に予定していた新長期ビジョンの公開を延期すると発表した。直近の業界環境の目まぐるしい変化などを勘案したとしている。再編の機運が高まりを受け、戦略の練り直しを迫られた格好だ。
“オアシス旋風”がドラッグストア・調剤薬局業界にどういう変化をもたらすのか、要ウオッチとなりそうだ。
文:M&A Online
6月30日、大手投資銀行バークレイズのデータによると、アクティビスト(物言う投資家)が第2・四半期に企業に出した新たな要求は世界全体で53件と、過去最高だった前期の78件から32%減少した。
豪環境非政府組織(NGO)は13日、三井住友フィナンシャルグループや三菱商事など4社に対し、気候変動対策の強化を求める株主提案を提出したと発表した。
最近米国では機関投資家がアクティビストの主張を支持するようになり、結局のところ長期的な企業価値が上がっている上場会社が増えてきているようです。