旧村上ファンド系アクティビストファンド・シティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)と、コスモエネルギーホールディングス<5021>が、激しくぶつかっています。シティは、コスモが2022年3月期と2023年3月期の株主帰属純利益が2,069億円に上っているにも関わらず、株主に還元した金額がわずか88億円(総還元性向は4%)だったことを問題視。剰余自己資本を株主に還元するよう要請しました。
コスモ側は、シティが経営陣に対して脅しともとれる発言をし、不信感を抱くに至ったとして、シティとコスモのこれまでの対話内容を2023年3月23日に公開しました。
シティインデックスイレブンスとはどのような会社なのでしょうか?この記事では以下の情報が得られます。
・シティインデックスイレブンスの業績
・コスモエネルギーホールディングスとの対立の内容
シティインデックスイレブンスは、レノ(東京都渋谷区)などの資産運用会社と連携して投資をするアクティビストファンド。シティ代表の福島啓修氏は1982年に早稲田大学を卒業し、金融会社にて投資銀行部門・商品開発・リスク管理などを経験しました。2013年にレノに入社。現在はシティとともにレノの代表も務めています。
コスモが公開した資料では、村上世彰氏が積極的に対話に関与する様子が描かれており、シティは村上氏が主体となって活動していると考えられます。
最近の投資の成功事例として挙げられるのが、ベンチャーキャピタルのジャフコグループ<8595>とのやり取りでしょう。
ジャフコは2022年8月15日にシティが15%弱の株式を保有していることを明らかにしました。
もともと野村ホールディングス<8604>の持分法適用会社だったジャフコは、野村総合研究所<4307>との株式の持ち合い化を進めていました。2018年3月に持ち合いは解消されたものの、ジャフコは野村総研の株式を保有し続けていました。2022年3月末の段階で株式の評価額は691億円。シティはこれを見逃しませんでした。野村総研の株式を売り払い、自社株買いをするよう迫ったのです。
ジャフコは新株予約権の無償割当による買収防衛策を導入するなど、シティ側と徹底抗戦する構えを見せました。しかし、シティの提案内容が経営方針と合致したとして、態度を軟化。2023年1月に1株2,500円で自社株公開買い付けを実施し、シティがこれに応じました。更にジャフコは2023年3月期末配当を100円から150円へと増額修正しています。
シティがジャフコ株を仕込み始めた2022年6月ごろの株価は1,200円台。1年かからない内に、2倍以上の値を付けて売却したことになります。
シティが本格的に利益を出したのは、活発に活動するようになった2020年5月期から。2022年7月期(2022年2-7月)の純利益は254億6,300万円でした。