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市議会議員の不正をローカル局が調査報道で暴く『はりぼて』

※この記事は公開から1年以上経っています。
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©チューリップテレビ

「富山市議会の不正問題は発覚してから4年が過ぎました。辞職した市議は裁判を経て、新たな人生をスタートしています。そんな中、今これを映画として世に出し、彼らの過去を掘り返すことは許されるのか。その悩みは今も抱えています。『はりぼて』で描いたのは『人間の弱さ』です。絶大な権力を振るった市議会の『ドン』は、辞職後に自らの不正を告白します。『遊ぶ金が欲しかった』その告白は生々しいものでした」

もう一人の監督である五百旗頭幸雄氏は、こう述べている。

「不正が発覚しても責任を取らなくなった市議たち。彼らにぶつけた厳しい言葉の数々が宙をさまよい、無力感となって戻ってきました。『はりぼて』があぶりだすのは。議会と当局の姿だけではありません。それらを許し、受け入れてきたメディアと市民を含む、4年間の実相です」

彼らのコメントからはスクープを飛ばした晴れがましさは微塵も感じられず、取材・報道することの痛みや、自分たちメディアもまた「はりぼて」ではなかったかという自責の念が読み取れる。本作にテレビ特番のようなサブタイトルを付けなかった理由も、そこにあると思われる。

人づきあいが濃い地方社会で、地元の名士である市議会議員の不正を暴き続けることは、放送局としても、そこで働く個人としても苦労を伴い、“世間”の批判の対象となりがちだ。そうした風潮があるにしても、「はりぼて」のようなローカル局の意欲的な調査報道に期待したい。この映画が地方議会への関心を高めるきっかけとなってほしいと、砂沢氏は前出のコメントを締めくくっている。

権力の監視役というマスメディアの伝統的な役割を体現した好例として、多くの人に観てもらいたい映画である。

文:堀木 三紀(映画ライター)

<作品データ>
『はりぼて』
監督:五百旗頭幸男 砂沢智史
撮影・編集:西田豊和
プロデューサー:服部寿人
語り:山根基世
声の出演:佐久田脩
テーマ音楽:「はりぼてのテーマ~愛すべき人間の性~」作曲・田渕夏海
音楽:田渕夏海
音楽プロデューサー:矢崎裕行
2020年/日本/日本語/カラー/ビスタ(1:1.85)/ステレオ/100分
配給:彩プロ
©チューリップテレビ
2020年8月16日(日)渋谷 ユーロスペースほか全国順次公開

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