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人気キャラを大量投下し興収100億円突破を狙う『コナン』新作

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(C)2023青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

人気キャラクターが大集合!100億円興収突破へ『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』がついに公開

毎年4月中旬に公開される劇場版『名探偵コナン』シリーズ。昨年に続き、今年も26作目となるオリジナルストーリーの新作映画『黒鉄の魚影(サブマリン)』が公開されます。

(C)2023青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

今回は八丈島近海に建設された特別海洋施設“パシフィック・ブイ”を舞台に、劇場版ならではのスケール感とアニメシリーズでお馴染みの謎解き要素を例年以上にボリュームアップ。そこに灰原哀、安室透、赤井秀一、さらには劇場版ではあまり登場してこなかった“黒ずくめの組織”が登場。まさにオールスター総出演の一作となっております。

「黒鉄の魚影(サブマリン)」のストーリーは?

ホエールウォッチングで八丈島に向かった江戸川コナン達。同じころ最新防犯システム“パシフィック・ブイ”が八丈島近海で稼働を開始します。ところが、そのシステムを狙った“黒ずくめの組織”が施設に侵入してしまいます。

思わぬ形で“黒ずくめの組織”と対峙することになったコナンと灰原哀は、その正体にまつわる秘密の暴露の危機に触れます。

“黒ずくめの組織”が動き出したことでダブルエージェントの赤井秀一、トリプルフェイスの安室透も動き始め・・・。

(C)2023青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

推しブーム「○○億の男」と「安室の女」を生んだ『ゼロの執行人』

大ヒットコンテンツの劇場版『名探偵コナン』シリーズですが、色々な意味で転機となったのが2018年公開の劇場版22作目劇場版『名探偵コナン ゼロの執行人』でした。

安室透(降谷零/バーボン)は以前から人気のキャラクターでしたが、『ゼロの執行人』で彼がクローズアップされると、さらに人気が爆発。熱烈な女性ファンを生み、「安室透を100億円の男にしよう!」という推しブームが自然発生的に広まります。ついには、声援を送りながら映画を観るという企画が持ち上がり、全国の映画館で「安室の女」と呼ばれる安室透推しのファンが集結する事態になりました。

これ以降、「〇〇(推しのキャラクター名)を△△億円(興行収入やキャラクターの売上が入る)の男に!」というブームがSNSを中心に流行するようになります。例えば『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』では「煉獄(杏寿郎)さんを400億の男に!」、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の時には「碇シンジを100億の男に!」という推しブームが盛り上がりました。

ついに悲願の大台を達成できるか

最終的に『ゼロの執行人』は91.8億円の興行収入を記録。翌年公開の『紺青の拳(フィスト)』ではシンガポールを舞台に怪盗キッドと京極真をメインゲストに据え、興行収入93.7億円を記録すると、いよいよ大台突破への機運が高まります。

ところが2020年に公開予定だった『緋色の弾丸』がコロナ禍により1年延期となってしまいます。翌年に無事公開されるも上映時間や座席数の制限を受けてしまい、興行収入は76.5億円にとどまりました。

後から考えれば、行動制限下という悪条件で76.5億円を記録した『緋色の弾丸』は素晴らしい興行成績だったといえるのですが、数字だけをみると、大台突破を目前に出鼻をくじかれた格好となってしまいました。

そして前作となる2022年公開の『ハロウィンの花嫁』では、歴代最高のオープニングを記録したものの、あと一歩届かずの97.8億円。劇場版『名探偵コナン』シリーズはこの数年、ヒット作品をコンスタントに記録しつつも大台を目前に足踏み状態が続いています。

『名探偵コナン』シリーズの歴代興行収入:国内(2018年~)

*2016年、2017年は初週2日間(土日)の興行収入、2018年以降は初日3日間

公開年 作品タイトル メインゲスト 初週興収 最終興収
2016年 『純黒の悪夢』 20作目 安室透、赤井秀一、黒ずくめの組織 12.0億円* 63.3億円
2017年 『から紅の恋歌』 21作目 服部平次、遠山和葉 12.8億円* 68.9億円
2018年 『ゼロの執行人』 22作目 安室透 16.7億円 91.8億円
2019年 『紺青の拳(フィスト)』 23作目 怪盗キッドと京極真 18.8億円 93.7億円
2021年 『緋色の弾丸』 24作目 赤井秀一 22.1億円 76.5億円
2022年 『ハロウィンの花嫁』 25作目 安室透 19.0億円 97.8億円
2023年 『黒鉄の魚影(サブマリン)』 26作目 灰原哀、安室透、赤井秀一、黒ずくめの組織 ?? ??

「日本映画産業統計」(http://www.eiren.org/toukei/)を基にM&A Online作成

コナンと比較されるワンピース

その一方で、コミック/テレビアニメ作品という同じジャンルのため何かと比較されてきたのが劇場版『ワンピース』シリーズ。2022年公開の『ONE PIECE FILM RED』では興行収入197億円と大ヒットを記録しました。

ワンピースもコナン同様に集客が見込める手堅いコンテンツでしたが、前作『ONE PIECE STAMPEDE』(2019)の興行収入55.5億円からなんと140億円もの数字を上積みしてきました。これで先を行っていた『名探偵コナン』は立場を逆転されてしまった感があります。

『ワンピース』シリーズの歴代興行収入:国内(2009年~)

公開年 作品タイトル 最終興収
2009年 『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』 10作目 48.0億円
2011年 『ONE PIECE 3D 麦わらチェイス』(短編) 11作目 7.9億円*
*震災年のため影響あり
2012年 『ONE PIECE FILM Z』 12作目 68.7億円
2016年 『ONE PIECE FILM GOLD』 13作目 51.8億円
2019年 『ONE PIECE STAMPEDE』 14作目 55.5億円
2022年 『ONE PIECE FILM RED』 15作目 197.0億円

「日本映画産業統計」(http://www.eiren.org/toukei/)を基にM&A Online作成

そんなこともあってか、今回の『黒鉄の魚影(サブマリン)』では、ここ数年にみられた「人気キャラクターの一人をローテーションでメインゲストに据える」というお決まりのパターンを捨て、灰原哀、安室透、赤井秀一そして“黒ずくめの組織”という人気キャラクターを一挙に大量投下する大盤振る舞いのスタイルに変えてきました。

(C)2023青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

劇場版『ワンピース』が数年に1本のペースで公開するのに対し、『名探偵コナン』は毎年のようにオリジナルストーリーの長編作品を公開するという違いがあります。この2つのシリーズを単純に比較するのは少し乱暴な話ではありますが、やはり『ONE PIECE FILM RED』のメガヒットが『名探偵コナン』製作陣の視界に入らないわけがありません。

劇場版アニメ作品が追い風を受け、メガヒットを連発させている昨今のブームに乗り、通常のパターンを捨ててまでオールスターを出演させた『黒鉄の魚影(サブマリン)』で『名探偵コナン』は念願の興行収入100億円突破を目指します。公開は2023年4月14日です。ストーリーとともに観客動員数も予想しながら劇場でお楽しみください。

文:村松健太郎(映画文筆屋)/編集:M&A Online

<作品データ>
キャスト:高山みなみ/山崎和佳奈/小山力也/林原めぐみ
監督・立川譲
日本/109分
公開日:2023年4月14日(金)
劇場版『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』 (conan-movie.jp)

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