国際会計基準(IFRS)を策定する国際会計基準審議会(IASB)が、IFRSにおける企業買収の際ののれんについて、費用として計上する会計処理の導入を検討していることが明らかになりました。
企業買収の際には、買収対象企業の純資産と買収価格の差額について、買収企業の資産にのれんとして計上することが求められますが、日本の会計基準においては、こののれんを定期的に費用として償却することが必要となります。これに対して、IFRSにおいては、このようなのれんの定期償却は必要ありませんが、買収対象企業の財務状況が悪化した場合等には、のれんについて、その価値を引き下げるべく減損することが求められます。IFRS採用企業が突如多額ののれんの減損を公表する事例もあり、かねてよリわかりにくさ等が指摘されていたところ、IASBも、この度、のれんの費用計上の義務付けの検討を開始したものです。
IFRSのもとでものれんの費用計上が義務付けられた場合、多数の企業においてM&A実行後の会計処理に影響を生じる可能性が大きいことから、今後の議論のゆくえを注視する必要があります。
パートナー 大石 篤史
アソシエイト 足立 悠馬
東芝は、最終赤字が1兆100億円になる見込みであると公表しました。買収した米原発事業の巨額損失を計上するに至った経緯をまとめてみました。