注目!2023年「骨太の方針」日本政府、新資本主義を全力推進

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国会議事堂

政府は6月16日の臨時閣議で、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2023」を決定した。企業の参入・退出の円滑化やスタートアップ育成の観点から、事業不振に陥った場合のM&A・事業再構築・廃業などを早期に相談できる体制の確立を目指す。

早期M&A相談体制の確立を目指す

「骨太の方針」は6月7日、政府の経済財政諮問会議(議長・岸田文雄首相)で原案を取りまとめた。M&Aなどの早期相談体制の確立は、岸田政権が発足当初から力を入れる「新しい資本主義」を加速させる施策のひとつに位置付けた。

欧米諸国に比べて低い日本の開廃業率を高め、新規参入の活発化とともに新たな産業構造への転換を促していくのが狙い。また、事業規模拡大や事業多角化を目指す中小企業の「成長志向型M&A」なども支援する。

新資本主義と地域・中小企業活性化:集中支援と事業再生に向けた取り組み

「新しい資本主義の加速」に向けた「地域・中小企業の活性化」では、売上高100億円以上などの中堅企業へのステップアップを目指す中小企業や、成長力のある中堅企業の振興を掲げた。M&Aや外需獲得、イノベーション支援、伴走支援の体制整備などを進めるため、予算・税制などを総動員した集中支援を実施する。

さらに、GX(グリーントランスフォーメーション)やDX(デジタルトランスフォーメーション)、人手不足などへの対応を後押ししつつ、中小企業の事業再構築・生産性向上、円滑な事業承継などを継続的にサポート。事業成長担保権の創設を含め、経営者保証に依存しない融資の拡大も図り、収益力改善・事業再生・再チャレンジの支援を強化する。

M&A推進と投資家理解を重視

6月16日の臨時閣議では、骨太の方針の中核となる成長戦略「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改定版」も決定した。M&Aの促進に向けては、のれんの償却を行わない国際会計基準(IFRS)の任意適用を拡大。のれんの償却額を調整した利益を決算短信などで開示するなど、投資家がM&Aの成果をより理解できる方策を検討するとした。

骨太の方針などは2024年度の予算編成や制度改革に反映される。岸田首相は6月16日、閣議決定に先立って開かれた経済財政諮問会議・新しい資本主義実現会議の合同会議に出席。「社会課題の解決に向けたスタートアップの育成や国内投資を進め、成長と分配の好循環を実現する」と強調した。

文:M&A Online編集部

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