この問題を解決するためのひとつの糸口として、いま米国での活用が進むのが「デュアルクラス」である。1株で複数の議決権を持つ種類株を発行し、これを起業家が引き受ける仕組みだ。米国のコーポレートガバナンス論における、最もホットな話題のひとつだろう。
デュアルクラスの精神を一言で言ってしまえば「金は出せ。口は出すな。それでよければ儲けさせてやる」という感じだ。なんとも傲慢だ。伝統的な一株1議決権の世界観からは絶対に受け入れられない話である...
この連載コラムでは「間違いだらけのコーポレートガバナンス」と題して、「コーポレートガバナンスの万能性」について懐疑的な視点から考察している。今回はこの連載の核となる「コーポレートガバナンスと企業成長、イノベーション」について説明しよう。