では、何がイノベーションを生んだのか。ここまで本稿を読み進めてくれた読者なら理解いただけるだろう。それはバスコ・ダ・ガマ(のような蛮勇家)の「冒険心」、その時に富を持っていた層(豪商や貴族、王族)の「資本」、そしてエンジニア(技術者)の「技術」だ。これら3つの要素を結び付けたプロジェクトファイナンスの仕組みが、イノベーションを生んだのである。
これが株式会社とは根本的に発想が違うものであるということを強調したい...
この連載コラムでは「間違いだらけのコーポレートガバナンス」と題して、「コーポレートガバナンスの万能性」について懐疑的な視点から考察している。今回はこの連載の核となる「コーポレートガバナンスと企業成長、イノベーション」について説明しよう。