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クレディ・スイス経営危機の発端となった「アルケゴス」と「ファミリーオフィス」
クレディ・スイスの経営破綻を回避するため、UBSが買収するようです。今回はクレディ・スイス経営危機の発端となったアルケゴス・ショックや日本でも注目を集めるファミリーオフィスについて詳しく解説します。
経営破綻後にスイスUBSグループの傘下に入った、クレディ・スイスからの人材流失が止まらない。4月4日には東南アジアでのM&A責任者だったリム・ジクアン氏がクレディ・スイスからドイツ銀行に移籍すると伝えられている。ドイツ銀はこの他にもクレディ・スイスから、ハビエル・バルガス氏やニコラス・カマチョ氏ら中南米の投資銀行や株式市場の責任者5人を引き抜いたという。
ドイツ銀以外でも米シティグループ、米JPモルガン・チェースなどの大手金融機関がクレディ・スイスをターゲットにした人材獲得に動いている。クレディ・スイスの優秀な人材を、経営破綻で混乱している今のうちに確保しようとする動きだ。
クレディ・スイスを承継するUBSグループに移籍できるかどうか不安を感じている人材が、各社のターゲットだ。将来不安を抱える人材であれば、比較的安い報酬でも新しい職に「飛びつく」可能性が高い。PMI(買収後の統合プロセス)の最初の関門となる、ここ数カ月の混乱期が人材争奪戦の山場になる。
一方、クレディ・スイスを引き受けたUBSグループは、優秀な人材を引き留めるための動きを急がなくてはならない。UBSはクレディ・スイスに比べると、M&A関連事業が弱い。買収費用を買収先企業の資産や将来のキャッシュフローなどを担保にした借り入れで賄うレバレッジドバイアウト(LBO)のローンや債券引き受けなどをアレンジするレバレッジドファイナンス業務や、アドバイザリー業務などだ。
金融筋によると、同事業の人材が「UBSへ好条件で移籍できないのではないか」との不安から大量に流出しているという。しかし、M&A関連事業はこれからの金融事業で最も成長性が高いビジネスの一つであり、そのノウハウと実績を持つ金融業界では引っ張りだこだ。
当然、UBSグループとしても、同事業の強化を狙ってクレディ・スイスを救済したはず。同事業から優秀な人材をごっそり奪われては、クレディ・スイスを取り込んだ意味はなくなる。UBSグループとグローバルバンクとのM&Aビジネス人材をめぐる「人材攻防戦」は、いよいよ佳境を迎えそうだ。
文:M&A Online
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クレディ・スイスの経営破綻を回避するため、UBSが買収するようです。今回はクレディ・スイス経営危機の発端となったアルケゴス・ショックや日本でも注目を集めるファミリーオフィスについて詳しく解説します。