トヨタとしては、いつまでもこの種類株式が残っていても困る場合があるので、トヨタには、種類株式を保有者(株主)から買い取る権利が付与されています。普通株式に転換は、株主だけに付与された権利です。トヨタが一方的に普通株式に転換するということはありません。トヨタが決められるのは、発行価格(元本)での買い取りです。

 投資家から見た場合、これを5年社債だと考えると年0.5%から2.5%のちょうど真ん中の1.5%利率がついた社債だと考えられます(本当は、利息の現在価値で比較する必要がありますが、ここではそれは考えません)。トヨタのような格付けの高い(S&PでAA-)会社の劣後債(株式に近い社債)と考えた場合、1年前の状況では高い利率であったと思います。昨年11月に発行されたソフトバンク(S&PでBB+)の7年無担保社債は2.13%でした。このトヨタの種類株式を5年ではなく7年持っていると単純平均で1.7%の利率になり、さらに長く持っていたら通算利率は2.5%に近づきます。

 忘れてはいけないのは、これは普通株式への転換条件付きの株式ですので、株式取得の5年目以降に発行価格に比べて株価が高くなっているようだと、上述したように普通株式に転換して売却益が得られる可能性も秘めているというプラスもあります。発表直後に申し込みが殺到したのも納得できます。

 ちなみに、「AA型」種類株式という名称はトヨタが付けた名称であり、AA型はどんな型なのか法律で決まっているわけではありません。A種、第一種などという呼称もあります。

2. 長引いた昨年の株主総会

 種類株式を発行するためには、定款の定めが必要です。このため、種類株式を発行する会社は、定款変更を行う必要があります。定款変更には特別決議すなわち、総会出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。このため、普通決議は過半数の賛成で承認されますので、種類株式の導入には一定のハードルがあるのです。

 昨年のトヨタの株主総会は3時間2分かかったそうです。これまで他社が発行したことがないような珍しい発行条件なので、それに対する質問もあったとは思います。それにも増して、このような種類株式には後述するようなコーポレートガバナンス上問題があるという意見や質問が多かったのも確かです。結果として、この定款変更決議には、反対票が24%あったそうです。