■アインファーマシーズ新規出店の内訳(2006年以降)
しかし、さらなる拡大を目指した同社に再び挫折が襲う。ドラッグストア大手のCFSコーポレーションとの経営統合に失敗したのだ。このときは統合相手のCFSコーポレーションサイドは議決権行使助言会社を起用して経営統合に賛同するように呼びかけたが、最終的に15%を出資するイオンが経営統合に反対したため、株主総会で否決され、経営統合が白紙となった。この後、経営戦略の大きな転換を迫られた両者は、別々の道を歩むことになる。
CFSコーポレーションはイオンの子会社となる道を選び、アインファーマシーズはセブン&アイ・ホールディングスとの資本提携を選択する。セブン&アイ・ホールディングスとの資本提携によって再び資金と信用を得た同社は、強固な経営基盤を手中に収めた。
激動の同社であるが、この15年間での売り上げは、185億円から1,879億円と10倍に、経常利益に至っては3億円から116億円と38倍に膨れ上がっている(下図参照)。
M&Aで経営危機を乗り切り、大企業の資金と信用を味方につけてピンチをチャンスに変えて反転攻勢に出る、その手法は見事としか言いようがない。アインファーマシーズのM&A戦略は示唆に富んでいる。
■アインファーマシーズの売上高、経常利益の推移
(追記)
年月 | 沿革と主なM&A |
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2015.11 | 西日本ファーマシー(売上高61億円)および瀬戸内ファーマシー(売上高3億円)を傘下に持つ四国最大の調剤薬局チェーン、NPホールディングスを56億円で買収 |
この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。
まとめ:M&A Online編集部
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