ストリーミング時代のミュージシャンの「生き残り方」とは

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脱CD時代の音楽ビジネスは?

一つは物販収入。マドンナはコンサート会場でのグッズ販売に力を入れており、最高料金の席に非売品のグッズをつけるという「お土産商法」も成功しているという。人気ミュージシャンには熱心なファンも多く、高額商品も飛ぶように売れる。「コンサート会場限定商品」となれば、一般小売ルートのように販売手数料を取られることもないので利益率は上がる。さらに「限定商品」ほしさにコンサートにやってくるファンも出てくる。ライブ集客と物販の相乗効果だ。

もう一つは、意外にもコスト削減。かつてコンサートといえば1日か、せいぜい数日で各地を巡る「キャラバン(隊商)型」がほとんどだった。これはミュージシャンにとってコンサートは、レコードやCDのセールスを伸ばすための販売促進策だったからだ。販促活動となれば「なるべく短期間で多くの都市を回り、顔を売るのがベスト」ということになる。ところがCDが売れなくなると、ミュージシャンはコンサートを販促活動ではなく収益源として考えるようになった。コンサートチケットの平均価格も上昇している。

「THIS IS IT」
9カ月間50公演の長期滞在型コンサートだった「THIS IS IT」
(Photo By Wesley Fryer)

開催回数を増やすと同時に、人気ミュージシャンは大都市で長期間にわたって同じコンサートを開く「長期滞在型」へシフトしている。マイケル・ジャクソンの死によって幻となったコンサート「THIS IS IT」は、英ロンドンのO2アリーナで2009年7月から2010年3月までの9カ月間に50公演が予定されていた。

これはスタッフの移動やセットの移設にかかる経費が抑えられるのに加え、長期間一括して会場を使用するため料金交渉にも有利に働く。長期滞在型コンサートは、キャラバン型に比べると1公演当りのコストが安くあがる。

音楽ビジネスの激変に、ミュージシャンたちは果敢に立ち向かっているのだ。

文:M&A Online編集部

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