てるみくらぶ 取材ルポ(後編)

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東京商工リサーチ 公開日付:2017.04.06

破産申請へ

4月5日掲載の「てるみくらぶ取材ルポ(前編)」では、3月23日~24日までの現地取材の様子をルポした。後編では、前段でそれ以降の動きをルポし、後段ではどうしたら被害は防げるのかについて考察する。

てるみくらぶ本社に張り出された告示書

てるみくらぶ本社に張り出された告示書

3月25・26日、土曜・日曜日

3月に入り山田社長がノンバンクからの資金調達を模索していたようだ、との情報が入る。休日で裏付け取材をできないのがもどかしい。また、法的手続きの申請代理人(弁護士)に関する情報も飛び交う。これほど情報が飛び交う中でも、てるみくらぶのホームページには現状や今後の方針を示すものは何もアップされない。かなり確度の高い情報として、27日(月)に事態は大きく動くとの話がもたらされる。

3月27日、月曜日

【7時00分】
てるみくらぶ本社ビル6階。すでに出社していたてるみくらぶの関係者に「ここでの取材待ちは控えて下さい」と要請される。本社ビル1階玄関に移動。本社へ出入りする人物と申請代理人に関する情報を照らし合わせ、顔と名前の特定作業を進める。

【7時30分】
取材先から「10時にてるみくらぶのホームページを見れば一番早くわかる」との情報がもたらされる。この話から9時前後に東京地裁に法的な手続きを申請する可能性が高まり、情報本部内が一気に緊迫する。

【8時00分】
てるみくらぶが何らかの法的手続きをとることが濃厚になったため、倒産した場合のリリース予定原稿と旅行業界の過去の倒産事例などを間違いがないよう再チェックする。

【9時35分】
取材を進め、てるみくらぶが東京地裁に破産を申請、手続開始決定も下りた事実を確認。速報をマスコミへリリース、自社サイトなどにもアップする。

【9時55分】
取材を進め、新たに旅行を申し込んでいた被害者が3万6046件、負債総額が151億円に達することが判明。旅行業としては歴代4位の負債総額だ。被害者の数は未確認だが過去最悪かもしれない。これらの情報をマスコミへリリースし、自社サイトなどに再度アップする。

【10時00分】
マスコミからの問い合わせが殺到する。支払った代金の返還率(弁済率)に関する内容が多い。事前にJATAに確認していたてるみくらぶの弁済業務保証金分担金は2400万円だ。この5倍が弁済金にあたるため、被害者への弁済金の限度額は1億2000万円しかない。被害者の方への影響の広がりが心配される。

【11時30分】
てるみくらぶが国土交通省で記者会見。冒頭、山田社長より謝罪。3月23日の国際航空運送協会(IATA)への支払いができなくなり、事業継続が困難に陥ったことを説明する。時折、山田社長が目頭をハンカチで押さえるが、本当に泣きたいのは心待ちにしていた旅行が台なしにされた被害者たちだ。

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