「太陽光関連事業者」の倒産状況

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2016年上半期(1-6月)の「太陽光関連事業者」の倒産は31件発生した。年間ベースでは、リーマン・ショック後の2009年に26件発生、その後は一進一退を繰り返していたが、2015年は過去最多の54件を記録している。

 2011年3月の東日本大震災後、電気料金の高騰や2012年7月の再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)が導入され、太陽光発電が注目度を高めていた。また、政府も自給エネルギーの確保と低炭素社会の実現に向け、化石燃料や原子力に依存し過ぎないエネルギーミックスを推し進めてきた。

 FIT導入当初、太陽光発電は他の再生可能エネギーより買い取り価格が優遇され、計画から稼働まで短期間で済むため、メガソーラーの運営やソーラーシステム装置の販売、設置工事など多様な形態で参入が相次いだ。だが、段階的な買い取り価格引き下げや同業者の増加で太陽光バブルは終焉、淘汰の時代に入った。

 2016年上半期に倒産した太陽光関連事業者の原因をみると、「事業上の失敗」がすべての企業倒産の5倍近い構成比を占めている。企業の新設や業態転換、兼業などで太陽光関連の事業を手がけても事業の維持は難しい構造が浮き彫りになってきた。

 5月25日、太陽光発電協会は「日本における太陽電子出荷統計」で2015年度(4-3月)の太陽光パネルの国内出荷量は713万キロワットで前年度より23%減少したことを発表した。

 同日、改正再生エネルギー特別措置法が成立した。認定制度と買い取り価格の設定方法が抜本的に見直され、中小の発電事業者は系統接続契約で不利になりかねないとの指摘もある。2012年以降、売上高を急拡大した太陽光関連事業者だが、本格的な市場競争に入り、既存業者の淘汰も増えている。消費者を多く巻き込む可能性もあるだけに、今後も動向を注意深く見守ることが必要だ。

2016年8月2日東京商工リサーチ「データを読む」より

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