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GWの興行収入が絶好調だった! アニメ大国ニッポンの映画事情

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GWの興行収入が過去最高に!『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の世界的ヒットを見て思ったこと

今年のGW興行収入はコロナ禍から脱しただけでなく、コロナ禍以前と比べても過去最高の数字をたたき出しました(TOHOシネマズのGW興行収入が 44.7億円の歴代最高記録だったと発表したほどです)。

東宝のリリースはこちら ➡ 「TOHO シネマズにおいてゴールデンウィーク興行収入、歴代最高記録達成」(5月9日公表)

この収益に大きく貢献したのが、悲願の興行収入100億円を突破した4月14日公開の『名探偵コナン黒鉄の魚影(サブマリン)』と4月28日公開の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』です。

『名探偵コナン黒鉄の魚影(サブマリン)』の画像
© 2023青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』画像1
© 2022 Nintendo and Universal Studios. All Rights Reserved.

1985年に任天堂がファミリーコンピューターのソフトとして第一弾が発売されて以降、様々なハードで展開されてきたスーパーマリオですが、ミニオンズシリーズのアニメーション制作で知られる米イルミネーション(Illumination)とタッグを組んで映画化した『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は、まず北米地区で5億ドルを超える興行収入を記録し、早くも今年最大のヒット作となっています(世界興収12億ドル超)。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』画像2
© 2022 Nintendo and Universal Studios. All Rights Reserved.

日本では4月28日に公開となりましたが、5月22日の発表時点で興行収入は90億円を突破。コナンに続く今年2本目の100億円映画が視界に入ってきました。国内で興行収入100億円を超えた作品は邦画・洋画合わせて44本ありますが、洋画のアニメーションでランクインしているのはディズニー&ピクサー作品だけです。

アニメ優位のニッポン

国内の映画市場は、洋画より邦画、実写よりアニメが強いという傾向があります。CINEMAランキング通信によると、歴代ランキングで100億円以上を記録した邦画は全部で17本ありますが、実写邦画でランクインしているのは『踊る大捜査線THE MOVIE』『踊る大捜査線 THE MOVIE 2』『南極物語』の3作品だけです。『踊る2』ですら2003年公開ですから、この20年間で実写の100億円作品は出ていないことになります。

・歴代興行収入邦画ランキング(100億円以上)

昨年(2022年)の興行収入ランキングを振り返ると、『ONE PIECE FILM RED』『すずめの戸締まり』『『THE FIRST SLAM DUNK』『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』『トップガン マーヴェリック』の5作品が100億円を突破しました。

『トップガン マーヴェリック』
© 2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.

中でも『トップガン マーヴェリック』は異例の大ヒットで、洋画で100億円を突破したのは2019年の実写版『アラジン』以来4年ぶり。あとはいずれもアニメです。ちなみに実写邦画のトップは『キングダム2』の51.6億円ですので、数字ではアニメの半分以下にとどまっています。

・国内興行収入ランキングトップ10(2022年公開作品)

さかのぼると一昨年の2021年はコロナ禍の影響もあって、100億円映画は『シン・エヴァンゲリオン劇場版』だけでした。これもアニメ作品ですね。

日本の映画市場は長らくスタジオジブリというヒットメーカーが牽引していましたが、近年は新海誠監督作品(『君の名は。』『天気の子』『すずめの戸締まり』)や「鬼滅の刃」や「ワンピース」をはじめとする人気コミックの関連作品がヒットを連発しています。

公開規模や公開期間を考えると、興行成績として優秀なアニメ作品はほかにも少なくありません。少々いやらしい言い方をすれば、「アニメは儲かる」商材なわけです。過去の興行データを基に映画は企画・制作されますから、必然的にアニメ映画の本数も増えてきます(映画だけでなく、テレビや配信でもアニメの本数は増えています)。

一方で、世界的に見ると、ここまで顕著にアニメが強いのは日本独自の現象です。たとえばアメリカはディズニー、ピクサー、イルミネーションなどアニメーションスタジオの本場ですが、年間の興行収入を見れば、そこまで圧倒的な存在ではありません。そのため『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の大ヒットはサプライズをもって迎えられたほどです。

・全米興行収入ランキングトップ10(2022年公開作品)

日本でのアニメの制作本数は、もうしばらく増加傾向が続くと思います。ただ日本は、流行りに乗っかりやすく粗製乱造した結果、業界が停滞するきらいがあります。そういった意味では、7月14日公開予定の宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』は試金石になるかと思います。

ゲームコンテンツの映画化は続くのか

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は世界的に大ヒットしているので、続編の可能性は非常に高いのですが、これが直ちにゲーム(コンテンツ)の映画化に拍車がかかるかというと疑問符が残ります。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』ポスタービジュアル
© 2023 Nintendo and Universal Studios

というのも、ゲームの映画化はかなりの確率で失敗に終わってきたからです。実は「スーパーマリオ」も30年前に実写化されたことがありましたが、完全に黒歴史扱いです。ゲームの実写化で成功したと言えるのは、『バイオハザード』と『トゥームレイダー』くらいです。主体的にキャラクターを動かすゲームと、劇中で主人公が意志を持って動いていく映画というメディアの相性の悪さもあるかもしれません。

とはいえ、ゲーム実況動画を配信するユーチューバーが人気になるなど、”ゲームを視聴する”という新しい文化が育ってきています。『名探偵ピカチュウ』や『ソニック・ザ・ムービー』くらい振り切ったCGアクションにしてしまえば、マリオに続くヒット作が出るかもしれません。ゲームの映画化に今後も注目したいと思います。

文:村松健太郎(映画文筆屋)/データ・編集:M&A Online

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