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M&Aに関連する記載も想定される「KAM」とは何か しっかり学ぶM&A基礎講座(60)

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監査報告書に記載される項目

具体的に監査報告書に記載される項目は「監査上の主要な検討事項の内容」「監査人が監査上の主要な検討事項であると決定した理由」、そして「監査における監査人の対応」となります。これらの項目は監査報告書に独立の区分を設けて記載されることになります。

【監査報告書における記載】

•監査上の主要な検討事項の内容

•監査人が監査上の主要な検討事項であると決定した理由

•監査における監査人の対応

なお、今回のテーマとは異なりますが、継続企業の前提に重要な不確実性が認められる場合にも監査報告書において情報提供がなされますが、従来の強調事項とは独立した区分に記載されることになりました。これも監査報告書の見直しの一環と位置付けられます。

有価証券 報告書に開示される「継続企業の前提に関する注記」とは しっかり学ぶM&A基礎講座(59)

M&Aに関連する記載も想定される

導入に先立ち、日本公認会計士協会は2017年にKAMの試行結果を取りまとめて公表しています。参加監査法人は大手4法人と準大手3法人、参加企業(監査先)は26社です。記載されたKAMの総数は68件、1社あたり2.61件という結果になりました。

KAMとして選定された領域でもっとも多かったのは「資産(のれん以外の固定資産)の減損」の18件です。そして、次に多かったのが「企業結合に関する会計処理、のれんの計上及び評価」の17件でした。つまり、M&Aを実施している企業では関連する会計処理や評価がKAMとして認識される可能性が高いことを示しています。

KAMの記載は2021年3月期の監査から適用されます。監査人にとっても、被監査会社にとっても、KAM導入に向けて検討すべき課題は多いといえますが、標準文例によらない新たな情報提供により監査報告書をじっくり読む機会が増えることは間違いないでしょう。

文:北川ワタル(公認会計士・税理士)

北川 ワタル

経歴:2001年、公認会計士2次試験合格後、監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)、太陽監査法人(現太陽有限責任監査法人)にて金融商品取引法監査、会社法監査に従事。上場企業の監査の他、リファーラル業務、IFRSアドバイザリー、IPO(株式公開)支援、学校法人監査、デューデリジェンス、金融機関監査等を経験。マネージャー及び主査として各フィールドワークを指揮するとともに、顧客セミナー、内部研修等の講師 、ニュースレター、書籍等の執筆にも従事した。2012年、株式会社ダーチャコンセプトを設立し独立。2013年、経営革新等支援機関認定、税理士登録。スタートアップの支援からグループ会社の連結納税、国際税務アドバイザリーまで財務会計・税務を中心とした幅広いサービスを提供。

学歴:武蔵野美術大学造形学部通信教育課程中退、同志社大学法学部政治学科中退、大阪府立天王寺高等学校卒業(高44期)

出版物:『重要項目ピックアップ 固定資産の会計・税務完全ガイド』税務経理協会(分担執筆)、『図解 最新 税金のしくみと手続きがわかる事典』三修社(監修)、『最新 アパート・マンション・民泊 経営をめぐる法律と税務』三修社(監修)など

北川ワタル事務所・株式会社ダーチャコンセプトのウェブサイトはこちら


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