様々な企業をグループ会社化してきた同社だが、1件目のM&Aから社内の合意形成はできていたのか。宮本社長は相乗効果が見込めたため、納得のうちに話が進んだものの、自身がリーダーを務めたテプラの開発では苦労した。製造設備も技術もなく、大きなコストがかかることで不満に思う社員は多かったという。社内でそうした経験をしたからこそ、M&Aはスムーズにいった面もあると宮本社長は見るが、概して「(M&Aを含めて)新しいことをやろうとすると怖がる社員は必ず生じる」 として、合意形成の難しさを語った。
M&A後のサポートはどうしているのか。その点に話が及ぶと、買収後の1、2年はとりわけ大切な時期だと考えているという。手掛けるのは優良な案件ばかりで、被買収側は「なぜ身売りしなければならなかったか」「これから先どうなるのか」と感じる社員がいて当然だと宮本社長はみている。そのためにも、グループ会社になってよかったと思える状況を作り出すことが重要。被買収企業の社員のメンタルをしっかりフォローでき、次期社長候補にもなりえる有望な若手社員を本社から送り込み、サポートしているとのことだ。
アルバム、手帳などの製本業界で、数々の買収を成功させ軌道に乗せてきた銀行出身の社長に企業買収やその後のマネジメントについて聞いた。