「あなたにぴったりの部屋が見つかる」。求人情報サイト運営のキャリアインデックスが新たな成長に向けて不動産分野に駒を進めた。転職口コミサイトを主力とするリブセンスから不動産情報サイト「DOOR賃貸」を12月1日付で事業買収した。買収金額は17億円超と売上高の半分以上に相当する、いわば社運をかけたM&Aだ。事業統合の舞台裏や、ポストM&Aの取り組みを探る。

契約後、事業譲り受けまで1カ月半

「短期戦の引き継ぎだったが、及第点だったのではないか」。キャリアインデックスの幾島尚彦執行役員は安堵の表情で切り出す。10月半ばの買収決定から事業譲り受けまでの期間は1カ月半足らず。幾島さんはプロジェクトリーダーとして陣頭指揮した。

プロジェクトリーダーを務めた幾島執行役員

まず立ち上げたのがテーマ別の分科会。「メディア」「営業」「CS(カスタマーサポート)」「システム」「管理」の5つを設け、週単位で目標を設定し、事業引き継ぎの進捗状況を管理した。とくに根幹であるシステムについては「タスクに遅延があった場合、決して翌週に回さず、その週のうちにリカバーすることを心がけた」と明かす。

分科会のメンバーは日常業務との兼務で約10人。全社員30人の3分の1の人員を割き、万全の態勢で臨んだ。「しかも、先方(リブセンス)が協力的で、大変ありがたかった。当社に事業移管後の運営を含めて、いろいろな提案をもらった」と話す。

「人材」で培った集客ノウハウを「不動産」に横展開へ

今回、傘下に収めた「DOOR賃貸」はリブセンスが2010年に運用を始めた成果報酬型の賃貸情報サイトで、業界有数の登録物件数を誇るという。パートナーである不動産会社・不動産ポータルサイトから提供された賃貸マンション・アパート物件情報とユーザーをマッチングして、各パートナー企業に送客することで報酬を得る仕組みだ。

キャリアインデックスは、こうした集客代行による成果報酬型ビジネスモデルを転職やアルバイト・派遣などの人材関連分野で展開してきた。看板の転職情報サイト「CAREER INDEX」は2006年にスタートし、会員数は131万人(9月末)に上る。「当社が最も得意とする集客ノウハウを不動産分野で生かしていきたい」(幾島執行役員)と意気込む。

「DOOR賃貸」を利用すれば、エリアや沿線(路線)、地図、家賃など様々な希望の条件で検索できる。敷金・礼金なし、防音・楽器可、家具家電付き、ペット可、ロフト付き、事務所可など、こだわりの条件の賃貸物件を数多く掲載し、お好みの部屋探しをサポートする。

スピード感が奏功…複数社との競合を制する

具体的な案件として「DOOR賃貸」の買収話が浮上したのは今年7月のこと。複数社との競合の末、キャリアインデックスが10月半ばに最終契約にこぎつけた。当初、売り手側は事業譲渡のスケジュールについて年明け以降を想定していたのに対し、買い手の同社がこだわったのは年内の取引完了。「こうしたスピード感が先方(の気持ち)に刺さったのかもしれない」と勝因の一端を振り返る。

「DOOR賃貸」のサイト画面