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瀬戸が渦巻く長崎地銀の大合併|ご当地銀行の合従連衡史

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十八銀行に合併された旧諫早銀行の本店(kando12/photolibrary)

賛否両論が渦巻く合併

ふくおかFGの一員となった親和銀行と十八銀行。冒頭に示したように、両行は2020年には合併を控えているが、その動向・手法にはさまざま意見がある。

まず、厳しさが増す地銀業界と地銀経営において、持株会社化のなかで規模の論理で生き残りの道を探っていくことは、大きな選択肢の1つではあるだろう。その進路に舵を切った以上、“新しい護送船団方式” の再来といわれようとも、突き進むという決断は重要である。

だが、その手法には債権を他の金融機関に買い取ってもらい、独占を防ぐという新手の手法がとられる。この手法は公取委の審査の過程で生まれたスキームではあるが、新しいモデルケースだけに懐疑的な見方もあるようだ。

率直に考えて、厳しい経営が続く銀行界で、他の金融機関が譲渡する債権を本当に求めるものなのか。たしかに譲り受けた債権によって、いっときは譲り受けた金融機関の貸出し額・貸出先企業数などが増え、あたかも、その金融機関の事業規模は拡大したかに見える。だが、きっと、「債権(すなわち貸出先)は自分たちの営業努力・経営の意思決定で勝ち取ってこそ価値がある」と考える金融機関もあるのではないだろうか。

加えて、債権を譲渡される融資先企業は、この債権譲渡をどう判断するだろうか。親和銀行と十八銀行の合併では、融資先企業の希望があった場合に債権譲渡が可能というスキームになってはいるが、長い目で見て本音としては取引銀行の担当者や取引条件が変わることにまったく不安がないといっては嘘になるだろう。たとえば、融資先企業においてM&Aを検討することになれば、その支援の判断は従来と同じというわけにはいかない可能性も出てくる。

潮の満ち引きによって早瀬のように多くの渦を巻く長崎県の瀬戸。十八親和銀行はその大渦のなかで、損得と永続、地域支援の“潮目”を睨みながらの舵取りを迫られることになる。

文:M&A online編集部

M&A Online編集部

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