ダスキンは清掃事業のほか、ミスドを主軸とした外食事業も早くから展開。1990年には米H.N.フェルナンデス社と提携してカフェデュモンドを、1991年には日本水産と共同でザ・どん(2011年にダスキンの完全子会社、2016年からフジオフードシステム傘下)を手がけ、今ではオーストラリア発のパイ専門店「パイフェイス」やシフォンケーキ専門店「ザ・シフォン&スプーン」など、ミスドを含め8つの業態を展開しています。
中でもユニークなのがモスド。2008年にモスフードサービスと資本・業務提携を結んだことをきっかけに、モスバーガーとミスドの両方のメニューが楽しめる店舗が誕生しました。現在の店舗は関西国際空港店とイオンモール広島府中店のみですが、モスバーガーを食べて、ミスドのドーナツをデザートにするなんてこともできちゃいます。過去には、見た目がミニチュアバーガーの「ドーナツバーガー」(2009年)やバンズにフレンチクルーラーを使ったハンバーガー「モスのフレンチクルーラー」(2014年)といったコラボ商品も登場しました。
ドーナツ市場のシェアをほぼ独占しているとはいえ、ミスドがメインであるダスキンのフードグループ事業はあまり良好とはいえないようです。2017年3月期の売上は前期から8.8%減の401億5100万円、営業利益は4期連続で赤字となっています。2015年にコンビニ各社がドーナツ市場に参入してきた影響もあるでしょう。2016年には、一時は行列ができるほど人気だったクリスピー・クリーム・ドーナツの相次ぐ閉店も話題となりました。スイーツ市場が多様化し、健康ブームが押し寄せる中で、高カロリーなイメージがあるドーナツの存在感が揺らいできているのも一つの要因だといえます。けれども、ミスドもただ手をこまねいているわけではありません。今年2月には“からだにうれしいこと”を考えるというコンセプトのもと新たに「からだに にじゅうまる」という商品シリーズを展開し、オイルを40%カットした「オイルカットドーナツ」や「豆乳ホイップドーナツ」といった健康志向を意識したドーナツを発売。2020年までには、ドーナツを手作りしている様子が見えるオープンキッチンスタイルに既存の1000店舗を改装していく計画もあります。果たしてこの数年でドーナツ市場を盛り上げていくことができるのか。ミスドの今後の動きに注目です。
文:M&A Online編集部