介護業界における働き手の問題について

――以前から働き手の不足や待遇改善が叫ばれていますが、この点において昨今の状況はいかがでしょうか。

高齢者住宅新聞社 代表取締役社長 網谷 敏数氏

 待遇面に関しては、給与のベースアップが毎年の様に図られており、一時に比べれば明らかに改善傾向にあるかと思います。ただ、離職率に関しては数%で推移している事業所もあれば100%、人員がそっくり入れ替わっているという極端な例もあり、事業所単位でかなりの差がある。

 大手に関しては研修制度を盛り込み、キャリアアッププランをハッキリと提示することで、他との差別化を行う企業も出てきています。

――企業側が資格取得のサポートや、取得後にプラスされる手当などを含む長期的なプランを提示できれば、業界内で長く働きたいという方には魅力的に映りそうですね。

 ええ、そうですね。また、ICTの導入や事業所内保育所の設置例が増加傾向にあり、職員の働きやすさを改善することで、人材不足の解消につなげようという動きも見られます。近い将来では、介護用ロボットの導入も進んでいくのではないでしょうか。

――外国人を対象とした労働力の確保についても、最近大きな動きがありました。

 2016年11月、これまで農林水産業などの領域で設けられていた外国人技能実習制度に、介護職種が追加されました。これは中国、台湾などの東南アジアへ技術移転を行うことを名目にしているものですが、上手く活用されれば、長い目で見て業界内の労働力不足に効果を発揮する可能性は十分にあります。

 目まぐるしく状況が変化する介護業界。次回はこの現状を踏まえ、M&A事例を絡めながら今後の動向についてさらに詳しい話を伺っていく。(次回に続く)

取材・文:M&A Online編集部

株式会社高齢者住宅新聞社 代表取締役社長 網谷 敏数
網谷 敏数(あみや・としかず)
青山学院大学卒業後、株式会社全国賃貸住宅新聞社入社。全国の有力管理会社、ハウスメーカーなどの取材を重ね、全国的なイベントとなった「賃貸住宅フェア」の企画・運営に携わる。平成15年3月、同社社長に就任。平成18年4月から『高齢者住宅新聞』の創刊・発行に携わり、介護・医療などをテーマに取材活動を行なっている。
『高齢者住宅新聞』 http://www.koureisha-jutaku.com/