トランプ氏はDigital Worldとの経営統合により、経営が厳しいTMTGの資金調達を図ろうとしている。が、SPACの投資家は、取引完了前に資金を引き出す権利を持つ。米国では急激な金利上昇とスタートアップ企業の経営難が相次いで表面化していることから、SPACからの資金引き上げが急増している。
そうした逆風下でトランプ氏がツイッターでの投稿を再開すれば、「トゥルース・ソーシャル」の事業価値は低下する。トランプ氏にとって「ツイッター」は、自社サービスの商売敵なのだ。ツイッター側がトランプ氏に投稿の見返りに何らかの経済的なメリットを与えない限り、「トゥルース・ソーシャル」に誘導するための「顔みせ」はあっても、本格的な復帰はないだろう。
ただ、Digital Worldは2021年5月に米国証券取引委員会(SEC)へ提出した目論見書で「特定の企業統合目標を選択しておらず、直接または間接に実質的な議論を開始したことはない」としていたが、同3月に両社が接触していた疑惑も取り沙汰されている。その場合は米証券法や証券取引所規則に違反するおそれもあり、先行きは不透明だ。
契約によると両社の合併期限は最長で2023年3月8日まで。それを過ぎるとDigital WorldはIPOで調達した資金を、株主に返還しなくてはならない。経営統合によるTMTGの上場ができなかった場合、トランプ氏が「トゥルース・ソーシャル」を閉鎖して影響力の強いツイッターに復帰する可能性は残っている。
文:M&A Online編集部
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