AVメーカーらしく、音響性能にこだわったパソコンを開発。買収前は韓国からの輸入が主力だったが、買収後は日本国内での組み立てとして品質にこだわった。
「E713シリーズ エンターテイメントオールインワン」は、臨場感とダイナミックなサウンドを楽しめるトータル・オーディオ・パッケージ「DTS Premium Suite」や豊かなサウンド再生を実現するスリム型プレミアムスピーカー、地上・BS・110度デジタルテレビチューナー、 スライド式iPodドック、フルハイビジョン対応の23型ワイド液晶、ブルーレイディスクドライブなどを備えたモニター一体型パソコンだった。
この他にも2面のディスプレーを搭載したノートパソコン「DXシリーズ デュアルディスプレイモバイル」などのユニークな製品も自社ブランドで販売して話題を呼んだ。
しかし、そうした独自のパソコンづくりも、パソコンの低価格競争に飲み込まれて売り上げが低迷。2012年1月にオンキヨーは量販店でのパソコン販売を停止、ネット直販と法人販売に特化した。しかし、販売は持ち直さず、全機種の生産を停止している。
オンキヨーはハイレゾ配信に早くから参入するなど、優れた先見性はあったがビジネスを軌道に乗せられなかった。最大の要因は音楽を楽しむ装置がコンポやパソコン、スピーカーのような据え置き型の機器から、スマートフォンとヘッドフォン・イヤホンにダウンサイジングしたのが響いた。先見性は重要だが、それだけでビジネスが成功するわけではないのだ。
文:M&A Online編集部