「くら寿司」は和歌山県と、「スシロー」は日揮などと連携 回転ずしに広がるSDGsの波

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回転ずし業界にもSDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)の波が広がってきた。「くら寿司」を展開するくら寿司<2695>は2023年10月5日に、和歌山県と包括連携協定を結び、ハマチの養殖技術の開発や、出張授業「お寿司で学ぶSDGs」などで協力する。

スシローを展開するFOOD & LIFE CONPANIES<3563>は2023年4月に、日揮ホールディングス<1963>など3社との間で、スシローなどから排出される使用済み食用油を、持続可能な航空燃料SAF(Sustainable AviationFuel)製造の原料として供給することで提携した。

すしに使われる魚などの水産資源は、乱獲や環境破壊などによって減少の傾向にあり、他の資源についても人口の増加などから同様の状況にある。SDGsは避けては通れない経営課題として他の回転ずしチェーンにも影響を与えそうだ。

水産業や食育などで地域活性化に貢献

くら寿司は外食、水産関連企業としては初めて、和歌山県と包括連携協定を結んだ。自治体とタッグを組み、水産業や食育などで地域活性化に貢献するのが狙いという。

くら寿司は国際的基準を満たしたオーガニック水産物としての認証を得ている「オーガニックはまち」を和歌山県内で養殖しており、今後、和歌山県と連携して、養殖技術の開発に取り組み、生産体制を増強していく。

また同社では漁業創生や食品ロスの削減などをテーマに、2021年から身近な回転ずしを入り口とする、学習指導要領に準じた出張授業を行っており、今後、和歌山県と連携して県内の小中学校で、魚食普及や食育活動などの取り組みを強める。

このほかにも和歌山県産品を活用したプロモーションの実施や、輸出の拡大、大阪・関西万博での連携などにも取り組む計画だ。

岸本周平和歌山県知事は「和歌山で養殖したオーガニックはまちは、世界に売り出せる財産ともいえる」として、期待感を高めている。

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外食チェーン大手では初めて

FOOD & LIFE COMPANIESが連携したのは総合エンジニアリング会社の日揮のほか、バイオディーゼル燃料などを手がけるレボインターナショナル(京都市)、持続可能な航空燃料の製造を手がけるSAFFAIRE SKY ENERGY(横浜市)の3社。

スシローをはじめ、大衆寿司居酒屋「鮨 酒 肴 杉玉」の廃食用油を、持続可能な航空燃料原料として供給することで、気候変動対策への貢献を目指す。外食チェーン大手が全国規模で廃食用油を 持続可能な航空燃料の製造に供給するのは初めてという。

SDGs は2030年までに実現を目指す17のゴールから成る国際目標で、「飢餓をゼロに」「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「気候変動に具体的な対策を」「海の豊かさを守ろう」などが定めれれている。

文:M&A Online

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