香港上場のロクシタン株、非公開化案見送りで株価が30%下落

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REUTERS

香港・北京 9月5日(ロイター)―― フランス化粧品大手ロクシタン・インターナショナルは5日、香港株式市場で前日比約30%下落した。同社会長で支配株主のレイノルド・ガイガー氏が、同社を非公開化する計画を見送ると発表したことを受け、欧州市場への再上場を巡る憶測が後退したためだ。

取引開始直後、ロクシタン株は19.70香港ドルに急落。ガイガー会長の投資持株会社であるロクシタングループは先月、ロクシタン株を一株あたり26香港ドル以上で買い取り非公開化すると発表していたが、計画を断念した。

ロクシタンの時価総額は、前営業日である1日の終値ベースで409億香港ドルから290億香港ドル(37億米ドル)にまで減少した。

関係筋がこれまでにロイターに明らかにしたところによると、ガイガー会長はまた、早ければ来年にもロクシタン株を欧州市場に再上場させる可能性についてアドバイザーと協議していたという。ロクシタングループは5月末時点でロクシタン株72.5%を所有している。

ロクシタンは2010年に香港証券取引所に上場。アジアの金融ハブである香港に主要株式を売り出した最初の欧米企業の一社で、急成長する中国市場での認知度向上を目指した。

ガイガー会長はオーストリア出身の資産家で、この10年でロクシタンの売り上げを倍増させている。ロクシタンはオーガニックコスメブランドで、現在、90カ国におよそ3000店舗を運営している。しかし、株価収益率ではフランスのロレアルなど同業他社に遅れを取っているのが現状だ。

イタリアの高級アパレル大手プラダも2011年に香港証券取引所に上場したが、ミラノ証券取引所に重複上場することを目指している。

香港株式市場は最近、バイアウト案件の中心地となっており、さまざまな企業の評価額が低下している。

大画面シアターを運営するカナダのアイマックスは、香港証券取引所に上場する中国子会社を完全子会社化する計画を発表しており、同じく香港上場の中国食品飲料メーカー大手ダーリー・フーズ・グループ(達利食品集団有限公司)は6月に経営陣から非公開化案を提示されている。

ブルームバーグ・ニュースは先月、ガイガー会長がまだ保有していないロクシタン株について一株あたりおよそ35香港ドルで買い付けることを検討していると報じたが、その後、取引が成立する場合、買付価格は一株あたり26香港ドルを下回ることはないだろうと表現を改めた。

(1ドル=7.8399香港ドル)

記事:Donny Kwok(香港)、Roxanne Liu(北京) 
編集:Christian Schmollinger、Jamie Freed
原文:REUTERS/翻訳:M&A Online

この記事は、ロイター・ニュース・アンド・メディア・ジャパンの許諾を得て公開いたします。
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