損害保険の不正請求をはじめとする一連の不祥事で業績が急速に悪化しているビッグモーター(東京都港区)が、事業譲渡に向けて動き出した。デロイトトーマツ子会社のデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーが再生計画の策定に入ったのだ。いよいよ売却に向けた「第一歩」を踏み出した。
同社はM&Aアドバイザリー、デューディリジェンス、バリュエーションなどのM&A関連業務で強みを発揮するフィナンシャル・アドバイザリー・サービス(FAS)を手がけ、KPMGやプライスウォーターハウスクーパース(PwC)、アーンスト・アンド・ヤング(EY)と並ぶ「BIG4 FAS」の一画を占める。
M&Aで豊富な実績を残しており、近鉄グループホールディングスによる近鉄エクスプレス株のTOB(株式公開買い付け)やNTTによるNTTドコモのTOBでの完全子会社化、ヤマダホールディングスによる大塚家具の株式交換での完全子会社化といった大型案件に関わってきた。買われる側の企業への支援案件も多く、「身売り」を検討しているビッグモーターが最適のFASと判断したようだ。
問題は実際に売却できるかどうかだ。M&A仲介大手ストライクの荒井邦彦社長は「財務内容が明らかにされていないので判断はできないが、中古車の在庫や自社所有の店舗などの資産はあり、事業譲渡は可能だろう」と見る。
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