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相続税調査は「重加算税」狙い!? 課税前は当局に決まった行動

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何気ない会話から相続財産を発見

このほか、調査官は臨場調査において、無申告になっているものはないか、家の隅々まで調べる。税務調査官との何気ない会話も、実は調査につながっているのだ。
たとえば、被相続人の趣味の話になったとき、「若いころから絵画や骨董が好きだった」などの情報を入手したら、調査官は絵画や骨董品が相続財産に含まれ申告されているのかを確認する。自宅に臨場した場合にも、骨董屋から年賀状でも来ていたら、購入歴などは確認する。

相続税調査が法人税調査などと大きく違うのは、相続税調査には会計帳簿や計算書類などが納税者側にないこと。そのため、「相続人の意思」確認が重要な要素になってくる。だからこそ臨場調査での会話が不可欠であり、後々「言った、言わない」の水掛け論にならないように、文書を残しておくことになる。

この聞き取り段階で調査官が作成するのが「質問応答記録書」。納税者との会話のやり取りを逐一会話形式で残し、こんなことを言ったとか、ここまで証言したとか分かるように記録しておく。ページごとには、納税者から押印をしてもらい、納税者と揉め事になったときなどの証拠としての価値も有している。

この質問応答記録書だが、調査官が重加算税を課す場合には、必ず作成するものだといわれる。重加算税は、申告書に記載された金額が過少などの理由で「過少申告加算税」が課される場合,または、正当な理由なく法定納期限までに納付しない「不納付加算税」が課される場合において、「仮装及び隠蔽」の事実があるときに、基礎となる税額に対し 35%の税率が課されるもの。さらに、正当な理由なく申告期限内に申告しない「無申告加算税」が課される場合において「仮装及ぶ隠蔽」があったときに、基礎となる税額に対し 40%の税率が課される追加課税だ。簡単にいてしまえは、不正申告にたいする制裁的税のペナルティだ。

この重加算税賦課案件となれば、調査官も身の入れようが違う。質問応答記録書を作成するに当たっては、調査官2人で必ず来る。なぜなら、調査官の一人が作成者、もう一人の調査官が納税者とのやり取りの監視役を担う。正確に記録書に記されているのか、公務員が2人で作成したものなら、裁判所も信憑性が高いと判断するためだ。

よく質問応答記録書への押印について、「抵抗があるので拒否できないのか」との話になるが、拒否してもなんら問題はない。ただ、押印拒否の理由を調査官はしっかりと記載しておくので、拒否してもあまり意味がないことを知っておきたい。逆に、「押印できない理由がある」と思われ、争いになった場合には不利になるケースのほうが多いのだ。国税OB税理士では、納得できないのなら、文章の修正依頼を行い、正確に記載してもらうことが懸命と指摘する。

相続税調査は、申告後1年経ってから行われるため、相続人も詳しいことを忘れてしまうことが多い。相続税は申告して終わりではなく、「調査」までも念頭に対策していくことが重要だ。

文:KaikeiZine 2016.08.02より転載

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宮口貴志 (みやぐち・たかし)

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在はKaikeiZine編集長として活動する傍ら、KaikeiZineの運営組織である「租税調査研究会」の事務局長も兼任。税務・会計ニュースを独自の切り口でわかりやすく伝えている。

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