ユダヤ教の基本概念

ユダヤ教は、紀元前およそ540年頃に成立したとされる一神教である。その特徴はいくつかあるが、ここでは特に「律法主義」「メシア信仰」「選民思想」を重視する。順を追って説明したい。

律法主義とは、ユダヤ教の聖典とされる「トーラー」(キリスト教における「旧約聖書」)を、片言隻句(せっく)の変更も許されない神の言葉「成文律法」として守ることを指す。トーラーとは、いわば神とユダヤ教徒との契約を記した「法律書」であり、基本法(本則)に当たる。 

しかし、実際には抽象的、原則的な記述となっているトーラーを解釈して現実の生活に適用する必要がある。そこで、「ラビ」と呼ばれるユダヤ教社会の指導者や、律法学者を中心に、不断の解釈と注解が重ねられてきた。これを記したものが「タルムード」と呼ばれる口伝律法だ。いわば「生活規範」であり、法律でいえば、「本則」に対する「付則」や「別表」といえる。

私たちは、旧約聖書といえば、アダムとイブから始まる天地創造の物語、ノアの箱舟、出エジプトにおいてモーゼが起こした奇跡を思い浮かべる。そして、聖書を宗教画に描かれるような壮大な絵物語として捉えがちではないだろうか。だが、トーラーは「神とユダヤ教徒との契約をまとめた法律書(もしくは契約書)」と捉えた方が理解しやすい。旧約聖書の「約」とは「契約」を指す。様々な物語は、契約の根拠と内容を説明するための、事例や判例だ。