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意外と低い「事業承継・引継ぎ補助金」採択率 2次公募始まる
中小企業庁は7月27日から、2021年度補正予算「事業承継・引継ぎ補助金」(2次締め切り)の申請を開始する。ここにきて浮き彫りになっているのが申請数と補助採択率の先細り傾向。岸田政権はスタートアップの起業支援にシフトしており補助金の在り方が問われている。
中小企業庁は10月6日から、2021年度補正予算「事業承継・引継ぎ補助金」(3次公募)の申請を受け付けている。11月24日まで。一方、同補助金の申請数と採択数はともに先細り傾向で、3次公募の成り行きが注目される。
3次公募の事業枠は従来と同様、事業承継後の「経営革新事業」、M&A時の「専門家活用事業」、既存事業の経営資源を引き継ぐ「廃業・再チャレンジ事業」の3つ。補助上限額は経営革新事業と専門家活用事業が各600万円で、廃業・再チャレンジ事業は150万円。3枠とも3分の2の手厚い補助率を維持した。
ただ、2次公募(7月27日~9月2日)の申請数は経営革新事業188件、専門家活用事業422件、廃業・再チャレンジ事業21件の計348件にとどまる。4月から6月にかけて公募した1次公募分(経営革新事業209件、専門家活用事業790件、廃業・再チャレンジ事業34件)の計1,033件から3分の1程度に縮小した。
採択数も下降線をたどっている。2次公募では経営革新事業こそ1次公募と同じ105件だったが、専門家活用事業は234件(1次締め切り分407件)とほぼ半減。1次公募で19件だった廃業・再チャレンジ事業は、一桁台の9件に落ち込んだ。
2021年度補正予算の同補助金は、2022年度中に計4回の公募期間を設定。各事業者のM&Aのタイミングに合わせて通年で申請できるように配慮したが、補助金の効果を最大限に発揮するためには採択率などの底上げを図る方策も求められる。
こうした中、中小企業庁は3次公募を前にした9月21日、M&A支援機関の登録申請受付を開始した。公募期間は2023年2月13日までで、登録の有効期限は6月末。2021年8月に登録制度が創設されたM&A支援機関には、2022年3月10日時点で2,823件ものファイナンシャルアドバイザー(FA)と仲介業者が名を連ねている。
専門家活用事業の補助対象となるのは、登録されたM&A支援機関のサービスのみ。2021年度当初予算で270件だった専門家活用事業の申請数が790件にまで増えたのは、支援機関が企業側に補助金の活用を働きかけたのも要因とみられる。
2022年は新型コロナウイルス関連融資の元金据え置き期間が終わり、本格的な返済時期を迎えた中小企業が多い。原材料価格の高騰も企業経営に重くのしかかる中、事業価値の向上を期待できるM&Aの重要性はますます高まっている。
全国の経済団体などでは同補助金の継続・拡充を求める声が根強く、経済産業省も2023年度予算概算要求で前年度当初比3億7,000万円増の20億円を計上した。M&Aを活用した経営革新などの手法を定着させる上でも、同補助金が担うべき役割は大きいと言えそうだ。
文:M&A Online編集部
関連リンク:
中小企業庁:令和3年度補正予算「事業承継・引継ぎ補助金」(三次締切)の公募要領を公表します
<中小企業生産性革命推進事業>令和3年度補正予算「事業承継・引継ぎ補助金」(二次締切)の補助事業者を採択しました
中小企業庁:M&A支援機関に係る登録制度の申請受付(令和4年度公募)及び令和3年度登録M&A支援機関の登録継続について
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