なぜコロナ倒産は増え続けるのに総倒産件数は減少しているのか?

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コロナ倒産は増えているが、総倒産件数は減少している(写真はイメージ)

未曾有の資金繰り支援が倒産を防いでいるが…

同法は2013年3月末で廃止となったが、日銀の「マイナス金利政策」で膨大なカネ余りが生じ、金融機関も「資金を遊ばせておくよりはマシ」と企業への貸付条件変更にも対応してきた。さらにコロナ禍で政府が金融機関に対して、緊急融資などの手厚い資金繰り支援をするよう強く要請している。

全国信用保証協会連合会によると、保証承諾の件数は日本でコロナ禍が顕著になった2020年3月に前年同月比で約1.6倍へ急増。ピークとなった6月には約5.8倍に達した。2020年度上半期(4〜9月)だけで127万2737件に達しており、前年度通期(2019年4月〜2020年3月)に承諾した67万1583件の2倍近い。保証金額も上半期だけで23兆6010億円と、前年度通期に承諾した8兆9389億7000万円の約2.6倍に膨れ上がっている。

信用保証実績の推移 (全国信用保証協会連合会調べ)
年度(月) 保証承諾件数 保証承諾金額(百万円)
2019年度通期  671,583  8,938,970
2020年4月  132,576  2,654,871
2020年5月  234,742  4,488,823
2020年6月  319,527  5,841,691
2020年7月  264,604  4,956,162
2020年8月  176,627  3,152,109
2020年9月  144,661  2,507,344
2020年度上半期計 1,272,737 23,601,000

いくら業績が悪くても、キャッシュが回っているうちは倒産しない。コロナ禍は産業の構造変化などとは違って一過性のものなので、その影響で業績が悪化している会社は金融支援で生き残れば事態収拾後に業績回復する可能性が高い。

一方でコロナ禍の影響をさほど受けていない企業も、この恩恵をこうむっていることは間違いない。つまり通常なら倒産しているはずの企業が、コロナ禍のおかげで融資にありつき生き残っている可能性も高いということだ。だからリーマン・ショックを上回る景気後退局面でも、企業倒産が抑えられているのである。

だが、こうした「ゾンビ企業」はコロナ禍が過ぎ去って手厚い金融支援がなくなれば、たちまち経営は行き詰まる。ポストコロナ時代の日本経済は、大量の企業倒産と不良債権問題に悩まされることになるおそれもある。特に中小企業はこうした強烈な逆風に備えて、M&Aや事業承継などの「体力増強」に取り組む必要がある。

文:M&A Online編集部

M&A Online編集部

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