TMD(旧:宝田無線電機)が特別清算 過去に100億円の追徴課税も

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秋葉原の電気街

免税店の消費税不正還付申告で追徴課税を受けていた

 (株)TMD(千代田区)は6月5日、東京地裁より特別清算開始決定を受けた。
 負債総額は73億9116万円(2020年5月期決算時点)。

 東京家庭電器(株)の商号で設立。1969年10月、宝田無線電機(株)へ変更した。外国人観光客向けの家電販売や鉄くず・コークスの輸出、テナントビルの賃貸などを展開し、1980年代には30億円台の年間売上高をあげていたが、バブル崩壊後は減収基調で推移し、1998年5月期以降は年間売上高が20億円を割り込んでいた。
 こうしたなか、2015年5月期には中国人訪日客向けに金加工品の免税販売を開始したことで業績が急伸し、同期の売上高は37億644万円に回復。2017年5月期には売上高が1092億7448万円まで拡大した。

 しかし、2017年8月に東京国税局より、仕入先との間で金加工品を循環取引し、訪日外国人客に対する販売の実態がないにもかかわらず約70億円の消費税を不正に還付申告したとして、重加算税を含めて約100億円の追徴課税を受けた。
 以降は対外信用が失墜し、本社不動産も差押を受けるなど業況が急速に悪化。金加工品などの免税販売からも事実上の撤退を余儀なくされ、2018年5月期の売上高は7億1530万円まで急減した。その後も業容の縮小が続き、近年は不動産賃貸業にシフトしていた。2023年2月27日には現商号に変更し同日、株主総会の決議により解散し、今回の措置となった。

東京商工リサーチ「TSR速報」より

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